去年の秋は随分忙しかった気がしたが気のせいではない証拠に
9月の中旬の『グエムル』以降映画館に行けてなかった。
せっかくのデ・パルマの新作も見逃していたので、
飯田橋ギンレイホールにてやっと鑑賞。
客席がかなり埋まってるのにもビックリ。
でまあ、これが劇場で観てよかったですよ。
エルロイが原作なんで40年代アメリカの、
恋も友情も正義もみーんな嘘という複雑などろどろした話、
しかも事件自体は現実にあったものをモデルにと
相当ヘビーになりそうな話をうまくまとめた脚色もいいのだけれど、
なんといってもこれは犯罪映画であるばかりでなく映画に関する映画。
さらにデ・パルマ本人の映画に関する映画でもあって、
ウィリアム・フィンレイが顔を傷つけられた役ででる
というだけでなくいろんな過去作品、
特に初期のもののイメージがちりばめてあります。
おかげで見てるこちらは本筋に全く身が入らないという困った作品。
楽しんで作ってるなあ
実写映画かと聞いたときには絶対ダメだろうと思ってたものが、
予告などを見て行くと結構いいかもとなって、珍しく初日に見てきました。
テレビアニメ版の百鬼丸はアニメ史上もっともかっこいいキャラクターだと
思ってますが原作よりもたくましく大人っぽくなってたアニメ版に比べ
ナイーブさを出してきた百鬼丸、子どもじゃないどろろ、
このくらいの変更は別になんの瑕瑾でもないところがやっぱすごい原作で、
キャストもいちいちはまってるんですが土屋アンナのまいまいおんばなんて感動的ですよ。。
前半のごった煮具合も手塚的にも思えるいい感じ
(もうちょっとテンポよくてもいい気も)なのにくらべ、
まとめに入ろうとした後半がテンポ崩れるのがもったいないなあ。
クライマックスを1シークエンスにしてちょっと尻すぼみ感。
『うしおととら』も入ってるけど『ベルセルク』が
いかに『どろろ』だったかを思いださせられました。
原作も持つ重さを出しきれたわけではないけど、尊重して作られてるのも確かで、
ストーリイだけをなぞった映画とか
原作の何が肝かを勘違いしたリメイクとか
名前だけを借りた別物の映画
などと比べなくても今作られた意味もあるいい映画でした。
見に行った新宿スカラ座は2月はじめで閉館、
入れ替わりに近くにシネコンがオープンするのでそれはちょっと楽しみかも。
公開一週間でお昼一回だけの上映になってしまった、杜[王其]峰の日本での最新作。
犯罪組織(黒社会)の会長を選挙で決めるという、ストレートな題名。
選ばれたのはクールな任達華サイモン・ヤム、
落ちたのは直情径行型の梁 家輝レオン・カーファイ。
抗争が始まる、という基本のストーリイはありがちといえばそうなんだけど、
何が起きても淡々と進む画面、必要なことだけを描写してって
常に漂う緊張感で先行きどうなるのかさっぱり予測がつかず。
地味にもみえます。
ポテンシャルは高い映画なんだけど、これでは大ヒットは望めんわなあ。
続編がさらにすごいらしいので、小さくとも日本公開して欲しいですよ。
『鎗火 ザ・ミッション/非情の掟』の姉妹編みたいな『放逐』も早く見たいですが。
劉徳華アンディ・ラウ主演の歴史超大作、とおもいきや意外にスケールは小さく、劉徳華も安聖基アン・ソンギも他の出演者もいいし、元の話(原作は日本の小説とその漫画化)もよさそうでそのメッセージ(非戦)を伝えようというのもわかるのだけど、映画としてはなんつーか、カタルシスとかないのでねえ。いろいろ惜しいなあ。
かなり長い間連載してるマンガの、第一部の映画化ということで
何しろ連載当時に読んだっきりだから細かいことはほとんど覚えてない状態での鑑賞。
『ビーバップハイスクール』OVA版ではキャラデ、作画監督として
組ませてもらっていた羽山淳一大作監の初監督ということで、
どうなるのかと思ってたら、脚本はその就任前に上がってたみたいだけど、
コンテも担当してるではありませんか。
しかもちゃんと映画らしい画面、テンポになってるし、お見事。
さすがに制作現場が厳しかったらしいのは、作画の崩れはさほど気にならない程度なのに、
効果音とあわないところが特に後半散見されるところ。
これはもったいない。その辺はDVDでは直すのだろうけど。
とにかく出来としてはちゃんと『ジョジョ』らしいものに仕上がってて、
昨今何本かあった原作になんの愛情もない人たちの映画とはえらい違いですよ。
コミックが原作だからといって、謝霆鋒ニコラス・ツェーは
もともと長髪が似あうからいいようなものの
甄子丹ドニー・イェンや余文樂ショーン・ユーまでかっこいい長髪とは!
と、そこで引っ掛かっていてはこの映画楽しめません。
とにかく最初の方からこりゃあ『魁!男塾』かよ
というばりばりアクション全開の乗りが、
最後の方では衝撃を受けた生身が石段をも砕くという
『聖闘士星矢』並にまで行きますからねっ!
「やっぱり来てくれたんだね、兄さん」と
ニコツェーが言わなかったのが不思議なくらい。
で、とにかく長髪のドニー兄さんがかっこいいかっこいい。
ヤさグレても嘆いても走ってもかっこいいですから。
思わず笑いがでるくらいかっこいいですから。
そういう映画で。
それにしてもドニー、ニコ、ショーンの役名が
ドラゴン、タイガー、ターボ、と
英語名だけ記されてるパンフはもうちょっとなんとかならんのかなあ。
漢字ではそれぞれ王小龍、王小虎、石黒龍。
師匠の元華ユン・ワーさんの役名は王降龍。
原作者もどっかにでてたらしいけどどれだったんだろ?
夢枕獏の原作は発行当初に読んだきりなので同じころに書かれた
山田正紀『闇の太守』やちょい後の『仮面戦記』とごっちゃになってしまい、
どういう話だったか見てやっと思いだしたわけですが、
主演の阿部寛もエンケンも竹内力も面白いくらい役にはまっていい。
のに。
なんでこの題材をもっと普通にまじめに作らなかったかなあ。
面白けりゃなんでもいいてのはふざけるだけで話を進めていいというのとは違うんでないかな。
あーもったいない。
それと、タイトルにもなってる巨大な剣がいかにも大きく見えるカットが
2カットくらいしかないというくらい絵づくりもなんだか〜〜で、
ま、それなりに楽しめたからいいようなものの映画としてはかなりつらいもんでした。
雰囲気も普通にテレビにしか見えなくて、
この前後に見た香港映画はどんなちゃちいことやってもちゃんと映画っぽくなってるので
なおさら、テレビと映画ってどうしてどこで差がつくのか考えさせられたりね。
歴史の教科書風にしてしまったパンフは中に生徒の落書きまで書き込まれていて、
こういうのは好き。
これに合わせて原作が再開してるのはいいけど、旧刊の方と合本なので微妙に買いづらい。
でも読みたいなあ。
成龍ジャッキー・チェン、古天樂ルイス・クー、許冠文マイケル・ホイの
泥棒3人組が赤ん坊を誘拐することになってしまい、
その子の世話をしてるうちに情も移って、とまあ話だけとればなんてことの無い。
それだけにどの瞬間も人を楽しませようとする映像ばかりで、
笑いあり恋あり人情ありもちろんアクションありと、盛りだくさん。
とりあえずおまけででてるわりには活躍する元彪ユン・ピョウと
赤ちゃんをあやすための古天樂の馬鹿なポーズつき替え歌と
切ない気持ちなのにでるたびに爆裂したコスチュームの
蔡卓妍シャーリーン・チョイだけでも大受け。
大泉洋のねずみ男と田中麗奈のねこ娘は期待以上の出来で万万歳。
期待してもいなかった西田敏行の輪入道がまた大笑い。
ウェンツの鬼太郎は何となく普通の人とは違うところはでてたので良かったのかな。
終盤、ピーターがハリーに助力を求めるとこが自分的にツボ。
もう、そこまでの展開は前置きでしかなくてここから本番だぜ、と。
テーマ的にはそうではないんだろうけど活劇としてはそっちで。
心の成り行きなど丁寧にやってるけどそういうとこ40分短くしてくれたら
3部作の中で一番好きではないかと。
ぶっちゃけMJのとこカットしただけでも。
ゴア・ヴァービンスキー監督『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』
3部作の完結編といえば『スパイダーマン3』もそうだったけど、
あっちは原作の歴史も長いし、『ス−パーマン』や『バットマン』みたいに
キャストを代えてまたいつ続編が作られてもかまわないのに比べこっちはもうこれで終わり。
やり残すことが無いように海賊、帆船と海で思いつくネタてんこ盛り。
話のテンポもちょっと速く、肉料理だけのフルコースみたいでおなか一杯、
終わらせ方もこうなるかあ、と。
周潤發チョウ・ユンファもいきなり完結編にだけでたわりには予想より出番多くて、結構満足でした。
にしても当然あるべきシーンが待ってるはずなのに
エンディングクレジットが流れ出した途端に帰っちゃうお客さんはかなり損してるんでは。
末期ガンで残った日を暮らすために帰郷した報道写真家と、その妻の物語。
迎える彼の中学の同級生達。
現在と同じくらいのボリュームで語られる中学時代。
その夏にだけ東京から転校してきていた女の子の想い出。
普段ならあまり見に行かないタイプの映画なのだけれど、
舞台が実家と同じ県内ではある久留米で、まあそれはいいけど、
全国のTJOY系での公開ってことは東映アニメーションの目の前のシネコンでやってて、
しかも原案、脚本が角銅の中学の同級生によるものときたらみないわけには行かないでしょう。
派手に走ることなくちょっとした謎も置きながら
生きること、死ぬこととまっすぐ向かい合って作られてます。
いい仕事しよるのお高坂。
自分には死ぬ前にもう一度みたいようないい想い出が
中学生時代には全く無かったのですがいい映画でした。
公式サイトはこちら。
実際にあった未解決事件の実録本が原作なので
『ブラックダリア』ほどフィクション化できるわけでもなく、
警察と新聞社がほとんどの舞台だけど
『大統領の陰謀』みたいにある種のカタルシスがあるわけでなく、
最初の方で連続して殺人事件が起きた後はかなり地味な展開で、
そこをまたけれん味を封じて撮るもんだから、
つまんなくはないし無駄があったわけではないけど2時間半は長いや。
「誰も映画のファーストカットがどんな絵だったのか覚えてなんかいない」
というのは古くからの仲間の片渕須直監督の言葉で、
確かにすぐ思い出せるのは『スターウォーズ』くらいで
名言だなあと思っていたのですが。
『プレステージ』という映画を思い出そうとすると
そのファーストカットを思い出さざるを得ない、という、
実に緻密に見事に作られた映画。
もちろん“ウルバリン”ヒュー・ジャックマンvs
“バットマン”クリスチャン・ベイルの対決も、
この二人が19世紀倫敦を練り歩く光景も、
マイケル・ケイン、デビット・ボウイという助演陣も、
ちょっと嫌な気持ちの緊張感がたゆまず流れてるのも全部楽しくできてて、
でもやっぱり地味めかな。
原作も読んでみなくちゃあ、買ってはいるので。
彭順オキサイド・パン彭發ダニー・パン監督
『リサイクル ー死界ー 鬼域』
新進女流作家の新作はホラー小説、その没原稿が現実化していき……
という発端はまあそんなものかと思っていたら、
そっから先が異世界ダークファンタジーでまるでアジア版『サイレントヒル』
次々と繰り出される異様な世界に圧倒されました。
魔界巡礼というか地獄巡りというか思いついたら何でもやっちゃえみたいな勢い。
ここまでくりゃあ、オチなんかどうでもいいと思ったのに、
つーか日本でやったら特にアニメだと観念的なとこに行きがちな気がするのに
こっちは実に人情的に納得いくところに持ってくのが見習うべきとこだなあ。
冒頭部だけでも主演の李心潔アンジェリカ・リーは魅力的で
活字系ホラーとしては『ハードカバー/黒衣の使者』の
ジェニー・ライトに匹敵するのではと思えるくらい。
彭兄弟パンブラザースの旧作は『レイン』『the EYE 見鬼 』
くらいしか見てないので『見鬼 2』『見鬼 10』やら
『森冤』『アブノーマル・ビューティ 死亡写真』やらもちゃんと見なくちゃ。
と言ってる間もなく今週末からハリウッド進出の『ゴーストハウス』公開なので楽しみですな。
3作目から10年以上経ってると言われても途中に
『マーキュリー・ライジング 』やら『16ブロック』やらあったので
そんな久しぶりな気がしないし、
死ににくい男が主人公ということでは『アンブレイカブル』も
シリーズに含めても文句のないところ。
今回もいろんな危機に遭遇しては殴り合いや撃ち合いで見事に勝利を収めて行く、
というのでなくちょっとした偶然とか機転とかで
なんとか生き残って行くところが面白いですね、やっぱり。
歴代のに比べると確かに悪役が弱いけど、
へたれなハッカー役ジャスティン・ロング(Macくん)がよかったので気になりませんでした。
ああいうのが活躍するようになって行く筋立てのものは好き。
福谷修監督『こわい童謡 表の章・裏の章 迫間(はざま)の章』
何曲かの童謡にあわせて合唱部女子高生が次々と殺され
あるいは行方不明になって行き大惨事に至る『表の章』は
アメリカン学園ものホラーの雰囲気で、
その謎をTV番組クルーと音響分析官が5年後に解こうとすると…
というのが『裏の章』
前後編の2本の映画を連続上映で、チケットもあわせて2000円ならなかなかお得。
『表の章』はあまりよけいな場面がなくテンポよく進むところがグー。
とはいえ、オーソドックスにすぎるかな、と思いきや
『裏の章』はその謎をとにかく音響分析を最大限に生かして
解きつつ進めて行くところがよく考えられてる出来。
それでもちゃんと怪しい出来事は次々起きて行くし。
『表』だけ見ても惨劇の犯人は見当がつくけれども
『裏』で明かされるのはそもそもの原因で、
それもなんというか音響がらみなところがなるほどなあ、と。
さて、『迫間(はざま)の章』は併せて公開中の
後楽園での立体映像を使ったアトラクション。
10人ちょっとくらいしかはいらない座席式の小屋内のもので、デートのついでにならいいかも。
400円かかるけど、ここでIC式交通系カードもっててピッとやると、
後で映画を見に行った時にポップコーンがただになるのであります。
彭順オキサイド・パン彭發ダニー・パン監督『ゴースト・ハウス』
引っ越した古い家が過去に事件があったもので、
年若い主人公はいろいろ怪異な目に遭うが家族は信じてくれず、
て、その部分だけとると最近たまたま読んだ三津田 信三『禍家』と
共通点多いですが、まあありがちと言えばありがちな設定。
実はその怪異の正体と言うか目的にもある共通点が…
って、そのネタは『The Messengers(使者たち)』という原題でバレバレな気も
そこまでかぶっても、『禍家』は面白かったのに、こっちの映画はですねえ…
怪異も意外な展開も「ああそれ前に何度も見たネタ」って感じで、
パン兄弟の見せ方、画面の作り方はいいんだけど、
やっぱそれだけじゃあ持って行けなくて。
編集も最後まで本人たちにやらせりゃあいいのに。
撮り方とつなぎ方がちぐはぐな感じのところも散見。
脚本としてはアメリカだったらホラー系TVドラマの
1編の方がよほど新機軸入れてひねった話のものがいくらでもありそうですよ。
主演のクリステン・スチュワートがよかっただけにもったいないなあ。
デヴィッド・イェーツ監督『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』
映画としてのまとまりはよかったかもしれないけど、
基本の話自体がつなぎっぽいんで、微妙に満足しきれなかった感が。
主人公たちとあわせて話も大人向けに成長して行くように見える、あるいはそうみたいので、
巨人のエピソードのいかにも後で役に立ちますよな置き方なんか気になってしまうのですがね。
が、しかし、今回の新キャラクタールーナ・ラブグッドと
それを演じたイヴァナ・リンチが大変よかったのでオッケーです。
原作読んだうちの家族によると次巻ではそんな出てこないらしいんだけど、
そんなこといわずどんどん出てきてほしいですねー。
彼女主役の別シリーズ作っても可。
恋愛映画に興味ないので冒頭部の後の30分くらいちょっとどんなもんかと思ったんですが、
そこからは情緒あふれる時代劇と怪談テイストがうまく合わさってグー。
原作である円朝『真景累ヶ淵』はちゃんと触れたことがないんです。
1970年に創刊間もない少年ジャンプで漫画化されたことがあって、何と作画は池上遼一。
若い時からずば抜けてたその画力で豊志賀の崩れた顔をどーんとかかれてたもんで
小学生の自分はビビりまくっていまだに『四谷怪談』よりこの話の方がこわくて。
それに比べると、今回の映画はちょっときれいすぎるかもーという気がしないでもない。
新聞の映画評で「情緒あふれる古典的な時代劇映像に
「今時のホラー風のショック場面があるのはなじめない」みたいなことがかいてあって、
じゃあそんな脅かしも怖がらせも上品なままでやってる怪談映画ってのは
いったいいつ頃のどんな映画だと。
怪談映画は結構あざとく怖がらせ驚かせるもんじゃないの。
映画に限らず、歌舞伎の舞台の時から。
今回のそのての場面は何しろ中田監督なんで、予想もしないタイミングでやることがうまい。
劉偉強アンドリュー・ラウ監督『消えた天使 THE FLOCK』
公開は後先だけど『傷だらけの男たち』の前に撮ってたらしい、
アメリカを舞台にしたというだけでなく監督が香港人とは
いわれなきゃわからないまるでアメリカ映画。
時折出る痙攣するような画面効果がちょっと多いような気がするものの、
後から思い返せばそれほど複雑な話ではないのに見てる間
先が読めない気がするのは絶妙な緊張感がずっと持続しているからで、
それはすごいことなのでは。
もっとえぐいものも予想してたので意外とほっとした結末。
中澤祥次郎監督『電影版 獣拳戦隊ゲキレンジャーネイネイ! ホウホウ! 香港大決戦』
時間が『電王』の半分しかないので話はシンプル。
ロケじゃなく合成なんでゲキレンジャーやメレが
旺角や尖沙咀を走り回ったりする場面がないのが残念ですが、
香港のセットのなかで呉越同舟合体(ほんとにそういうネーミングの敵味方合体)
巨大ロボが戦う様は燃えるとしか言いようのないものが。
後20分足して七拳聖も全員出して欲しかったけど
そうするといくら石橋雅史さんでも敵が足りないか。
長石多可男監督『劇場版 仮面ライダー電王 俺、誕生!』
平成ライダーの劇場版というとTVと微妙に連動してなくて
大人向けという名の明るさの欠けた煮え切らないものがあったりしたんですが、
今回のはややこしくなりがちな話をうまくわかりやすくした上に
子供版電王とか4フォーム勢揃いとか見せ場もたっぷり。
でも最後は全員の力をあわせて倒すとかしてほしかったかも。
大泉学園のシネコンでは初代ライダーとクウガが展示してあるんですが、
たまにゲキレンジャーたちがきたりしてロビーにいた子供は大喜び。
映画化の情報を聞いたのがちょうど『トランスファーマー ギャラクシーフォース』を始めた頃。
そのシリーズが終わってはや1年半、実写ではどんなものになるかと思っていたら、
期待に違わぬ大バカ映画(褒め言葉)に仕上がってました!
何でそうなるの?というのがストーリー上の必然というよりも
『だってそういう場面が見たかったから』というのばかりで構成されてる素晴らしさ。
もはや話はどうでもいいし、というレベルで『ダイ・ハード4.0』を上回ります。
巨大ロボットが街に現れたらこんな場面を見たいぜのアイディアがこれでもかとてんこもり、
まさにアニメっぽいカットも数多く。
ロボット形態のときどうやって身を隠すか、なんてアニメでは嘘くさいのを
実際にやってて爆笑さ倍増。
こっちのアニメ版ではやってはいけないとされていた建物の破壊とかもやりたい放題。
見る時は是非吹き替え版で。主役のオプティマス・プライム、
日本名コンボイは初代コンボイの玄田哲章さんでそれだけで感涙もの。
元々キャラクター数が多いので、『ギャラクシーフォース』と
かぶってるキャラがオプティマス・プライム以外には
デストロン側のメガトロンとスタースクリームくらいしかいないのが残念。
しかし全員実に彼ららしい個性を、間抜けなとこも含めて発揮してます。
パンフレットに人間の出演者のことばかりでロボットのキャラクターについて
のせられてないのが一番残念。
吹き替え版の配役ものせるようにしてほしいもんだ。
おなじみのシリーズアメリカ版第2弾。
いくつかの場面は日本のビデオ版の2などから引用しつつ、
アメリカが舞台の部分をおりまぜ、時系列をばらして構成する手法はこのシリーズならでは。
かつて『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』なんかが
わかりにくいからという理由で時系列順に再編集されて公開した
なんてコトを思うとずいぶん変わったもんですね。
もうここまでくると伝統芸能をみてるみたいなもんで
筋書きや演出は安心してみてられるんですが、
前作のサラ・ミッシェル・ゲラーもちらっとは出るものの
その他の女優陣があまり魅力的でないのが残念。
やっぱりホラーはきれいなお姉ちゃんが出てこなくちゃねえ。
日本語吹き替え版だともっとひどい事になってたらしく、
話題作りとかの理由で演技の出来ない芸人を連れてくるのはいいかげんにしてほしいですね。
テレビでも『スーパーナチュラル』はそれが理由でみなくなってる人もいるくらいで、
最近だとまた『シンプソンズ』が話題になってるようですが。
今回の副題の『パンデミック』爆発感染ということで
ビデオ版2のラストのグレードアップ版を期待したんだけど、そこも残念。
あのバカオチをみたかったなあ。
『呪怨 パンデミック』ではどの日本人男性よりも目立つ役をやってた
陳冠希エディソン・チャン、こちらではほとんど台詞もないカンボジア人の殺し屋役。
ほとんど汚れだらけで凶悪な目つき。幼い頃から殺し屋として育てられ、
というのを『狗』と呼ぶのは
李連杰.ジェット・リー『ダニー・ザ・ドッグ』というのがありましたが
あれはフランス人の作ったおとぎ話とするならこちらは
甘いところの少ない、苦い、重い、辛い、痛い、えぐい話。
人の心を持たない狗が少女と出会う事で何かが変わり、
まで同じなのにここまでテイストが違うとは。
決定的に違うのが警察が存在するという事で、もう一人の主人公が
李燦森サム・リー演ずる何もかもなくした刑事。
こちらがまたくそシリアスな真顔の演技で鬼気迫ります。
林雪ラム・シューを手始めに登場人物のほとんどが無惨に死んで行っていい事など一つもないのだけど、
不思議と希望が残る様な不思議な映画。
でも気の弱い人にはホラー映画よりお勧めできません。
カルトホラー映画として名高い73年度版は未見。
もとがどんなに名作でも、リメイクという事自体はいいも悪いもないでしょ、
何かというとあの名作をなぜリメイクするのか
という人たちが出てくるのは好きじゃなくて、
問題はリメイクかどうかでなくて
映画自体のできだというのは『キングコング』でも明白。
そもそもリメイクはだめっていったら
ハマー版『ドラキュラ』もない訳だしね。
ところで新宿歌舞伎町の映画館街の中でも
東亜興行チェーンはバースデイ割引というのがあって、
これが誕生日1日だけでなく誕生月の一ヶ月丸ごと
4館の映画館のどの映画でも1000円になるというお得な制度。
実はこのリメイク版は、どうも評判が良くなくてみる気あまりなかったのが、
4館の中で他にみたい映画がやってなくて1000円ならまあいいかといってみた訳で。
前が評判いいと割を食うのは新作の方だし、
世評と自分のがあわない事もよくあるし、と。
で、結果はというと。
いや、だめでした。
演出もそれほどいい訳でもないけど、とにかくもう脚本が。
思わせぶりも失敗してるわ辻褄は合わんわとっちらかってるわ一体なにしたかったのかわからんもの。
いいとこひとつもなし。これなら1000円で旧作をレンタルして
残った分で珈琲にケーキでもつけた方がよっぽどよかったかも。
どちらにしても旧作は見なくちゃ。ふう。
設定とタイトル、そしてそんなに熱心な観客ではなかったとはいえ
マカロニ・ウエスタンというジャンルからくる期待値は結構高かったですよ。
かつて極めつけに変なもの撮りまくってきた監督でもあるし。
そしたら意外とまともにまとめてる感があって、
もっと無茶で話はつながらなくて思いつきだけつながっててでもかっこいいというのを見たかったなあ。
まあそんなの作っても喜ぶ観客は少ないとは思いますが。
出演者やキャスティングはよくてそれぞれ見せ場があるのもグー。
あ、それと主題歌は一番最後だけじゃなくてメインタイトルから聞きたかったですね。
フィリップ・G・アトウェル監督『ローグ・アサシン』
李連杰.ジェット・リーとジェイソン・ステイサムの顔合わせで
謎の暗殺者がどうのこうのといいながら、
話の謎の部分は早めに読めるのに
そんな事に気がつかないままドラマを進めようとしてるので
アクションがあまりない感じに見えてもったいない。
日本ヤクザ石橋凌がチャイニーズマフィア・ジョン・ローンより活躍して、
ケイン・コスギも思ったよりがんばってたけど、
あと2、3転してくれればねえ。
デヴォン青木きれいな日本語の台詞での吹き替えは誰だったのかな。
同じ監督で同じ様な時代設定の『デビルズ・バックボーン』と対をなす様な一本。
その時に、戦時下とホラーは両立しないんだなあと
悪い意味でなく書いたもんですが、
ダークファンタジーは見事に成立するのでした。
デル・トロ得意の地下ものでもあるし、傑作感満点。
有楽町や東武練馬でも上映してるけど
行った事のない恵比寿ガーデンシネマで鑑賞。
容赦なくグロや痛い場面あるので
文芸もの好きそうなおばさまたちや
デートのカップルは終映後困った顔してましたよ。
10月23日〜25日香港映画祭 ええともう2週間くらいすぎてしまいましたが、TIFFで見た映画の感想など。 徐克ツイ・ハーク 林嶺東リンゴ・ラム 杜[王其]峰ジョニー・トー監督 『鐵三角 』とは鉄のように固い絆の3人という様な意味らしく、3人の監督で撮った映画。 で、オムニバスなのかと思ってたら、内容に関しての何の打ち合わせもなく 舞台挨拶にも来た古天樂、『父子』にも出てる(らしい)任達華、 任達華の奥さん役林 煕蕾ケリー・リンは同じく『父子』にも出てるらしいけど、 おなじく『神探 マッド探偵』にも出てて 感想というよりでてる人たちの重複で混乱しがちなのを書いてるだけの |
10月24日その1 アジアの風 香港映画祭以外にも上映されてる香港映画がある訳で、 前日の浮かれたおやじぶりから一変、チョイ悪どころか で、映画ですね。 杜[王其]峰ジョニー・トー 韋家輝ワイ・カーファイ監督 『マッド探偵 』てまたひどい邦題だなあ、 元刑事の劉青雲ラウ・チンワンは人の心の闇が別の人格となって見える特殊能力者。 その劉青雲に捜査の協力を頼む刑事に安志杰アンディ・オン、 前日の『鐵三角 』では任達華の奥さん役林 煕蕾ケリー・リンは劉青雲の奥さん役、 劉青雲の取り憑かれた様な演技が見物だけど、 |
10月24日その2 香港映画祭2本目 婚約者を強盗に殺された復習の鬼刑事・謝霆鋒ニコラス・ツェー、 午前の『神探 マッド探偵』では刑事だった安志杰アンディ・オンが悪役集団の一人、 全体としては実に正しい香港エンタテインメント映画でありました。 今回の林雪ラム・シューは冒頭で余文樂に痛そうに投げられる役。 |
10月24日夜 香港映画祭の『男兒本色 Invisible Target』終演後に急いで六本木へ。 ま、映画のそのものはとっくに評価の決まってるところですが、 |
10月25日 香港映画祭3本目 1930年代田舎から上海にでてった兄弟とその友達3人が黒社会に交わり… |
フィルメックスも初めてなら有楽町朝日ホールも初めて、
開店直後で既に30人以上並んでたチケットぴあで
なんとか買った席は後ろの方だけど真ん中近くで割と見やすいところ。
『鎗火 ザ・ミッション/非情の掟』の続編かとも言われていた今作、
正式な続編ではないとはいえ
黄秋生アンソニー・ウォン、
呉鎮宇(フランシス)ン・ジャンユー、
張耀揚ロイ・チョン、
林雪ラム・シュー
の4人組はほぼ同じ様な役柄。
それぞれ役名は前作今作で
鬼(グァイ)Curtis/火Blaze、
Roy /泰Tai、
Mike/猫Cat、
肥James/阿肥
と違い…
あ、林雪はかわってねえ。
前作ではもう一人の仲間・呂頌賢ジャッキー・ロイ(信シン)が
いなくなるところで話が終わり。
今度はいなくなってたはずの仲間・張家輝ニック・チョン(和ウー)が
戻ってきたところから始まると言うのも対照的と言うか。
任達華サイモン・ヤムは今度は黒社会のボス。
変な事を嬉々としてやっております。
敵対するボスに最近やたらよく見る様な気がする林家棟ラム・カートン。
任賢齊リッチー・レンが実にかっこいい役。
一般公開時にまた見に行きますよ。パンフも買いたいし。