時々思いついて書く映画の感想

2006

01/12

清水崇監督『輪廻』

01/16 杉山慶一監督『銀色の髪のアギト』
01/26

福谷修監督『渋谷怪談 THEリアル都市伝説』

02/03 小中和哉監督『ミラーマンREFLEX』
02/05 ロベルト・シュヴェンケ 監督『フライトプラン』
03/09 陳凱歌 チェン・カイコー監督『無極 PROMISE』
03/24 葉偉信ウィルソン・イップ監督『殺破狼 SPL 狼よ静かに死ね』
04/06 干仁泰ロニー・ユー監督『霍元甲 SPIRIT FEARLESS
04/08 川本喜八郎監督『死者の書』
04/10 田中誠監督『雨の町』
06/02 杜[王其]峰ジョニー・トー監督『柔道龍虎房』
06/04 劉偉強アンドリュー・ラウ監督『DAISY』
06/05 陳木勝ベニー・チャン監督『ディバージェンス 運命の交差点 三岔口 』
06/19 陳嘉上ゴードン・チャン監督『剣客之恋 老鼠愛上猫 CAT AND MOUSE』
06/24 馮徳倫スティーブン・フォン監督『ドラゴン・プロジェクト 精武家庭 House of Fury』
07/01 クリストフ・ガンズ監督『サイレントヒル』
07/20 J・J・エイブラムス 監督『M:i:III』
08/06 ゴア・ヴァービンスキー監督『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』
08/19 千明孝一監督『ブレイブストーリー』
08/19 宮崎吾朗監督『ゲド戦記』
08/23 余國偉ダニエル・ユー監督『愛と死の間で 再説一次我愛イ尓』
09/11 奉俊昊ポン・ジュノ監督『グエムル 漢江の怪物』
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清水崇監督『輪廻』

『呪怨』でおなじみ清水監督のホラー映画の特徴のひとつは、『いやな映像』が次から次に出てくること。
普通は『いやなことが起こりそう』な気分だけを積み重ねていって
実際にそのことがおきるのはわりとわずかな時間なもの。
それがつるべ打ちに来るのはどういうことかというと、
慣れちゃって最後には笑いだすようなことになりそうなものがその逆。
一つ一つはある意味目新しくもない恐怖が
積み重なるとどんどんいやな気分が累積していくということがおきます。
その『いやな映像つるべ打ち』を可能にしてるのが
『呪怨』では時間軸を入れ替え主人公を変えていく短編の集積という手法。
今回は長編でどう来るか。
それが実に頭のいいというか頭を使った構成がなされていきます。
これが第2の特徴。

35年前におきた大量殺人事件。それを今映画化しようとする監督とキャスト。
舞台はその事件のあったホテル、その廃虚と当時そのままの映画のセット、
さらに過去の幻影と実際に事件当時撮影された8ミリフィルムの映像、
さらにどうからんでくるのかわからない女子大生まで加わって
多重構造のクライマックスはまさに映画的。

その過去の事件の被害者達と現在でその役になる役者たち、
さらにタイトルが『輪廻』なのでその転生者まで加わって
現場や脚本づくりは混乱しなかったかと
余計な心配したくなるものが普通に画面見てる分にはすっきり分かりやすいので、
こりゃすごいですよ。

別に好きでもない優香はこういう役ならいいかー。
椎名桔平はなにやってもいいです。

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杉山慶一監督『銀色の髪のアギト』

スタッフクレジットの絵コンテの欄に名前が載っちゃあいるんですが、
作業したのはかなり前で、もう4年くらいになるかな。
その後いろいろ変遷を経て、絵コンテも改稿につぐ改稿を重ねたとかで
どうなってるものやらと劇場に見に行きました。
自分が担当した分で形をとどめてたのは20カットくらいだったのでは。
元は全体の半分くらいの量をやったような気がするんだけど、何しろ前のことなんで。
話もああこうなったのかあと。
『パトレイバー3』もコンテの手伝いしてから完成するまでかなり時間かかってたし、
手伝うと良くないのかなあ(^^;)
それでもなんでもとにかく途中でなくならずに完成したことが良かったです。
監督の杉山君は『スーパービックリマン』の頃、演出助手をやってもらってた人。
お疲れさまでした。

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福谷修監督『渋谷怪談 THEリアル都市伝説』

たまたま渋谷に行くことがあって、
そういえば『ミラーマンREFLEX』はどこでいつからだっけと
見に行った渋谷シネ・ラ・セットで丁度これから始まる回があったので
これは見なさいという天の声と思って。
パンフなどなかったので、映画館前のポスターと言うかチラシの画像です。
前作は見てないものの小説版は読んだことあり。
今作も題名にあるようにいわゆる都市伝説が題材で
「試着室で消える」「合コンに知らない娘が混じっててそれが」
などありがちとも言えるそれをまんま映像化して見せるという、
なかなか楽しい趣向。
ちょっとずつひねってあるところがミソなんだけど、
印象的にはまるまんまと言うのは実はあまり見たことがないですねー。
なーんて余裕かましてたらうち1本は結構ほんとに怖かったことは秘密。

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小中和哉監督『ミラーマンREFLEX』

リメイク前の35年前のテレビシリーズは見ていたとはいえ
『二次元人とのハーフ』という主人公の設定さえも言われて初めて思いだす程度で、
初期の何体かの怪獣というか怪人のデザインが特徴的だったのをのぞけば
話はほとんど覚えてません。
今作では『幽世』『邪仙』といった言葉と古代鏡の紡ぎだすイメージが素晴らしく、
古代と現代、鏡の世界とこちらの世界、光と影、
その狭間に位置するという立場のヒーロー像は
人間大でも巨人でも活躍という、サイズ的な意味でも狭間に位置していて、
『闇の怪人の一人』ではなく『光の巨人』でもないという
なんとも微妙な、そして独特なヒーローと転生してました。
いや、転生ではないのかも。
もとから『朝焼けの光の中に立つ影』だったのでした。
脚本はもちろん小中千昭さん。
難点は伊東裕子のメガネ姿が前半までしか出てこないことですかね(爆)

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ロベルト・シュヴェンケ 監督『フライトプラン』

巨大航空機内で失踪した娘を探すジョディ・フォスターの演技はその意志の強さと
赴任先のドイツという異国で1週間前に亭主が死んだという不安定さを両方持ってて、
見る人に微妙な居心地の悪さを提供させることに成功。
一緒に搭乗したはずの娘が実は存在しなかったのでは、
と本人にさえ思わせていく前に、
映画の観客にじわじわとそう思わせていくのがこの映画のだいご味で、
冒頭部からその手段は凝らされてるわけですが。
娘は実在しましたというのがそう確信させるきっかけ含めて
予告でバンバンでてるのでいやもうなんというか。
後半の展開はアクションやや強めだけどそちらはもっと減らして
頭使ったサスペンスでおして欲しかったかなあという感じもあり。

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陳凱歌 チェン・カイコー監督『無極 PROMISE』

宣伝では真田広之と張東建チャン・ドンゴンばっかでてますが、
謝霆鋒ニコラス・ツェーの北公爵・無歓の美形っぷりがすげえいいですよ。
『新警察故事 香港国際警察/NEW POLICE STORY』のフランクな守護天使もよかったけど、
またさらに良くなってきてます。
そして予想外に良かったのが、刺客・鬼狼役の劉(火華)ルー・イエ。
強いのに情けない弱さ。『情熱の嵐』も見てみようかなあ。
あ、真田広之の光明大将軍も意外と弱いところ、ずるいところがあり、
大物過ぎないところが味噌。
張東建チャン・ドンゴンの奴隷・崑崙は『武士〜MUSA〜』の
チョン・ウソン鄭雨盛の役柄をほうふつとさせますが、
あそこまでワイルド・寡黙でないものの、芯の強さがでてて、なるほど人気が出るわけだと。
この二人が自分の声で中国語でやってるのに対し、
成り上がりの王妃・傾城の張栢芝セシリア・チョンは
もちろん中国語出来るのに別人に吹き替えられてるのは大変心苦しいものの
今回の役柄ではまあしょうがないかも。
本来の彼女の声で古装片見たい場合は『小白龍 情海翻波 The White Dragon』を見ましょう。
邦題はなんだっけ。
ああ、映画本編についてあまり触れてないですね。
陳凱歌といい『HEROー英雄ー』の張芸謀チャン・イーモウといい
現代中国を舞台にした映画ではあれほど文芸的というか渋い力を見せる人たちが、
時代劇ではなんでこーも荒唐無稽にしてしまうのか、
一人だけではないところが中国人の奥深さというか
日本人が理解しきれてないところがあるのだなあと思いますが。
台湾の李安アン・リーも足したいところで。
今回は特に破天荒さがすすんでて、いかにもCGっぽいCGとか、
微妙にカットの中を切ったりスムーズにつながらない編集とか、変なとこてんこ盛り。
しかし鮮やかな色彩設計、絢爛たる衣装やセット、これがいかにも映画という感じで、
なおかつ半歩バカ映画に踏み出しているところがとても好きです。

葉偉信ウィルソン・イップ監督『殺破狼 SPL 狼よ静かに死ね』

初の悪役を演ずる洪金寶サモ・ハンのド迫力。
アクション監督も兼ねた甄子丹ドニー・イェンとの対決はリアルさを強調して重く痛そう。
甄子丹ドニー・イェンの現代劇を見るのは実は初めてでちゃんとみなくちゃですね。
呉京ウー・ジンのいかれた殺し屋ジェットとの対決もすごすぎ。まばたきできません。
次々に殺されていく刑事たちの一人、廖啓智リュウ・カイチーは最近気に入ってる人で、
今回もいい味出してます。
すべてが破滅に向かっていくささくれ立った暴力の物語になりそうなものを、
根幹には熱く燃えるものがあったり、
意外と映画の中で話の細かいところに気を配ってるのが香港映画のいいところ。
映画らしいなあ。

あ、主役の一人、任達華サイモン・ヤムはどーも香港での評価が
すごい高いらしいのがいまいち実感できてないんですが、なんででしょ。

干仁泰ロニー・ユー監督『霍元甲 SPIRIT FEARLESS

李連杰.ジェット・リーが実在の人物を演ずる、というと
『ワンス・アポン/ア・タイム・イン・チャイナ』シリーズの黄飛鴻とか
『格闘飛龍』方世玉とか。今回も弁髪が良く似あいます。
が、娯楽作でなくて戦いの意味とか人生とか強さとかを考える映画なので、
主人公霍元甲は功名心もあり人間的な弱さも持つ人。
それが過ぎてすべてを失い、絶望の底から人の心に触れて再起し、
中国人民のため天下一武闘会(みたいの)に挑むという、
話はいいし、いい映画なんだけど、もっとまあなんというかスカッとしたかったというか。
最後に流れる主題歌が変な日本版じゃなくて元の周杰倫ジェイ・チョウの歌だったらなあ。
剣も槍も三節混も使いこなしもちろん素手でも強いし関節技も見せるアクションはいいです。
相手もでかいのやら何やらバラエティに富んでるし。
今作のアクション監督袁和平ユエン・ウーピンが昔監督した同じ主人公の映画
『激突!キング・オブ・カンフー 霍元甲』も見てみたい。

川本喜八郎監督『死者の書』

岩波ホールでの上映最終日に見てきました。川本監督もいらしてました。

田中誠監督『雨の町』

菊地秀行さんのロフトプラスワンのトークライブで
評判は聞いてたけどなかなか行く機会が無いのが、
小中千昭さんと監督のトークがあるというのでこれはいい機会と。
渋谷に移る前のイメージフォーラムには何度か行ったことがあったものの、
こんな立派な建物なんだーと中に入ると椅子も普通の映画館。
が、スクリーンは思ったより大きいのでやや後ろから見ました。
原作の短編はパンフレットにそのまま再録されててお得。
『異形コレクション』で読んでたものですが、
さすがにいつも雨が降り続く町、というのは無理という以外は
思ったより原作の味わいを生かし、
得体のしれないものの侵略の不気味さをいい『いやな感じ』で伝えた作品になってました。
ホラーは撮れないけどSFならいけるという監督の言葉でまた
ホラーとSFの境とか違いとか考えることにもなりましたが。
『光る目』『盗まれた街』が好きな人は是非。

杜[王其]峰ジョニー・トー監督『柔道龍虎房』

この監督の『鎗火  ザ・ミッション/非情の掟』『PTU』などノワールもの以外の近作では
『マッスルモンク』はいくら難解とは言えもともと『ランニングカルマ』なんつー題であったくらいで
素材そのものがわけわかなのよ、ですんだんですが、今回は柔道。
香港映画で。
その組み合わせの変さから想像する以上のおかしい出来でした。
いや、良く考えると基本のお話はわりと真っ当だし。
でも流れというかなんというか。
この変さはなんとも説明できないのでみてもらわないとわからない、
かといって万人にお勧めできる映画でもなく
こういうのが好きそうな人はそもそも勧められなくても見るだろうしと言う、
あーなんかもどかしいな。
柔道場面は予想以上にすごい出来。
面白いのも間違いないっす。
主演の二人郭富城アーロン・コック、古天樂ルイス・クーも適役、
梁家輝レオン・カーファイがまたかっこよすぎ。
と言うか登場人物に悪い人がいなくて最終的にはほぼみんなかっこいいという、すげえなこれ。

劉偉強アンドリュー・ラウ監督『DAISY』

監督は香港の『無間道 インファナル・アフェア』の人だけど、これは韓国映画。
舞台はアムステルダム。
街頭似顔絵書きをしてる若い女性、
花を育てる孤独な殺し屋、
インターポールの刑事の恋愛模様…………
まるで六十年代少女マンガのシチュエーションと思ったら映画もそのままでした。
悪いけど恋愛映画に興味はないのよ。
いや、ちゃんとドンパチもあってそこはいいんですけどね。
モノローグなくして半分に編集したらもうすこし好みかも。
主演の三人
鄭雨盛チョン・ウソン、全知賢チョン・ジヒョン、李誠宰イ・ソンジェは
悪く無いのでファンなら。

陳木勝ベニー・チャン監督『ディバージェンス 運命の交差点 三岔口 』

呉彦祖ダニエル・ウーのちょっといかれた殺し屋、
郭富城アーロン・コックの恋人が失踪して胸に穴の空いてる刑事、
鄭伊健イーキン・チェンの悪人を無罪にして心に矛盾を抱えるエリート弁護士、
この三人がどうからんでいくのか、事件はいろいろ起きて
曾志偉エリック・ツァンや林雪ラム・シューもいいとこで出てきて、
話はちょっとややこしいわ人物造形が少しずつひねってあるわ、
演出はあまり個性的でないかもしれないけど、
アクションもちゃんとしてるしサスペンスとしてもなかなか楽しめましたよ。
同じ郭富城の主演でもこの前に見た『柔道龍虎房』みたいな
変なひねり方じゃなくて素直に見られました。
特にパンフでは裏になっちゃたたけど
鄭伊健は今回みたいな役の方があってる気がするなあ。

陳嘉上ゴードン・チャン監督『剣客之恋 老鼠愛上猫 CAT AND MOUSE』

香港で買ったDVDの中に入ってた予告編集で見て気になってたんですよ。
その後いったときにDVDも買ってはあったんだけど、
何しろ日本語がついてないので見そこねたままで。
日本版も発売されることになったついでの劇場公開。
に、しても六本木で1週間だけしかも1日2回だけ上映とはなかなか厳しかったなあ。
パンフもないので劇場のポスター画像。
香港の、正月映画なんで深刻なところがほとんど無く
最後は何となくみんな丸く収まってハッピーにという、
ある意味緩い造りでその緩さがいいわけです。
劉徳華アンディ・ラウと黄秋生アンソニー・ウォンの入浴シーンなんて
どういうニーズに答えてるのか良くわかりませんが。
張栢芝セシリア・チャンはまたヒゲだけ付けて男装とかいいはってでてきます。
彼女の古装片(時代劇)ではこの後に呉鎮宇(フランシス)ン・ジャンユーとでてた
『ラヴァーズ&ドラゴン 小白龍情海翻波 THE WHITE DRAGON』がまた良かったですな。
杜[シ文]澤チャップマン・トウなんかもでてますが、
いかにも頼りなさ気な皇帝役の張達明チョン・ダッメンと
内気そうながら腕も立つ李冰冰リー・ビンビンがいいあじだしてます。
全体に昔の吉本みたいな映画。

馮徳倫スティーブン・フォン監督
『ドラゴン・プロジェクト 精武家庭 House of Fury』

去年の春香港に行ったときに丁度公開中だった映画。
『ジェネックスコップ』主演者の中では何となく一人ぱっとしなかった感のある
馮徳倫が監督業に進出しての第2作目。
監督デビュー作の『エンター・ザ・フェニックス』は見そこねちゃいました。
見るからにバカ映画かと思いきや意外と真っ当な。
ストレートなストーリイにひねらない分かりやすい演出で好感が持てる出来。
監督が主演も兼ねてるけどでしゃばらず、妹Twinsの鍾欣桐ジリアン・チョンと
父親黄秋生アンソニー・ウォンが誰も主役というまとまり。
ちゃんとみんなアクションするですよ。妹の恋人呉彦祖ダニエル・ウーも
最近悪役が多くてよかったけど、今回のいい人見るとやっぱかっこいいですなあ。

クリストフ・ガンズ監督『サイレントヒル』

『ジェヴォーダンの獣』の監督がなんともゲームマニアで
自分でビデオレターをコナミに送ったのがきっかけという、
原作のゲームはプレイしたことはないけど
ちらっと知ってるかぎりでは良くその世界を映像化できてるかんじ。
なにより町全体が廃虚と化し、
常に白い灰が降ってくるというビジュアルはとても魅惑的。
中盤のいろいろ謎が深まり話が交錯するという
普通の映画でいえば一番面白いところがあんまりドラマチックじゃなく
イベントを連続こなしてますというように見えるのが
なんだかなあでダメかもこの映画、と思ってたら
終盤で持ち直して盛り上がりました。
それにしてもいくら初日とはいえ
満席になるほど人が見に来るとは思わなかったなあ。
あ、『バイオハザード』みたいなゾンビ系の亜種かと思ってたら、
そうじゃなかったのね。そこもなかなかよかたっす。
オチが弱いけど。

J・J・エイブラムス 監督『M:i:III』

脚本も演出も悪く無いけどすごく良く出来たテレビスペシャルみたいで、
いまいちものたりない。スケールが何となく小さいかんじ。
どんでん返しっぽいのももともとキャスティングでわかっちゃう
2時間サスペンス劇場みたいだし。
フィリップ・シーモア・ホフマンの悪役ぶりはいいので、
冒頭からでてる小道具の超小型体内型爆弾を
30発位打ち込まれて派手に爆死するとか、
そういうばかなノリがあると好みだったのかも。

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ゴア・ヴァービンスキー監督『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』

正直言って過度な期待はしないで見に行ったわけですよ。
前作で面白いのは良くわかってるけど、
こっちの興味はほぼ同時に撮影されてたという3作目の
周潤發チョウ・ユンファにいってるので今作はつなぎの気分。
しかし、映画料金分以上に満腹感があっておとくですなー。
とにかく2時間半を間延びさせない次から次のアイディア、見せ場の連続。
球形の駕籠とかくし刺しとか水車とかの小道具を使う場面は
それを生かすのにどれだけアイディアを積み重ねられるかという、
チャック・ジョーンズとかと同列のことが行われるわけで、
これは日本人では出来ないんですねー。
今回の悪役はまさにワンピースの魚人族さながらで
実写でやるとこうなるんだーとか。

千明孝一監督『ブレイブストーリー』宮崎吾朗監督『ゲド戦記』

どっちも原作を未読のまま2本を1日で鑑賞。
父を失った少年が見知らぬ世界に一人で旅立つと
助けてくれる旅慣れた人や少女やたくましいおばさんに出会い、
もう一人の自分と相対したり
自分の願望のために邪悪に手を染める魔法使いと対決したりするのに
龍に助けられるという映画。
どちらも作画美術音響CGなど大変豪華です。
自分で演出とか監督とかを仕事にしてるわけですが、
これは基本的にどういう画面を作るかということより
見た人にどういう感情になって欲しいかを計算する仕事なわけで。
いい画面はいいスタッフがいれば作れる可能性大きいけど、
それだけでは終わらないところが映像造りのだいご味ですよねえ。
松たか子の清潔感、菅原文太の貫録、大泉洋の軽み、田中裕子の押し込めた何か、
ウエンツも意外と良かったなあ。
自分でこんな予算のある作品を手がけることはないだろうと
思われるのでいやもううらやましいです。

余國偉ダニエル・ユー監督『愛と死の間で 再説一次我愛イ尓』

劉徳華アンディ・ラウ主演の悲恋もの?
常々恋愛映画に興味はないと言いふらしてますが、香港映画は別。
これもしかし恋愛映画といっていいものかどうか。
Twinsの蔡卓妍シャーリン・チョイが普通に奥さん役というのも
あらもうそんな大きくなってたのですが、開始5分も待たず事故死。
話はそこから数年後、彼女の心臓を移植された
楊采[女尼] チャーリー・ヤンに劉徳華が偶然であって…………
ここからの展開が何がどうなるのか、まるで予想がつきませんでした。
いや、展開は何となくわかるものの、じゃあいったいどういう風に着地するつもりなのか。
見てもらうしかないですけど、結果としては納得。
しかしこれ、劉徳華主演じゃなかったら成立せんのではないか。
いい映画なんですが、邦題は『間で』のところ
『はざまで』と読むのに気がついたのは劇場でチケット買うとき。
検索すると同じ邦題作品がケネス・ブラナーにあって輪廻ものらしく、
そっちは「あいだ」と読むのかなあ。

奉俊昊ポン・ジュノ監督『グエムル 漢江の怪物』

この監督に主演:宋康昊ソン・ガンホ と来れば『殺人の追憶』のコンビで、
またどうせ一筋縄では行かんのだろうなあと。
そのとおりでした。
素材や造形が「WXIII 機動警察パトレイバー」と似てる
という話も聞いてたんですがまあそこだけとれば確かに。
でも全然違う映画だし、モンスター出現場面だけとってもこっちの方が勝ち。
『WXIII』の、モンスター最初の出現場面の絵コンテ担当として素直に降参です。
大筋は知って見に行ってるはずなのにちょっと先の展開の予想がつかないというか
テンションのもって行き方が違う、この監督の演出力もすごいうえに、
微妙にはずしていく作劇術も韓国映画の中ではもっとも好みで。
宋康昊ソン・ガンホが相変わらず存在感だしまくり、
妹役?斗娜ペ・ドゥナは『チューブ』で見てた人。この人もいいっす。

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樋口真嗣監督『日本沈没』
河崎実監督『日本以外全部沈没』

話題の大作(公開終わりましたが)とその便乗作品(監督談)
すごくきっちり作ってるらしいわりには何となく盛り上がらないものと、
その特撮カットの1カット分くらいの予算で作ったんじゃないか
くらいのゆるゆるのマイナー作品。
どちらがおすすめかというとまああえていえば二本立てはどうでしょうか。
『沈没』はあまり小松左京らしくないものになってたけど
(前作がかなりそれらしかったのでなおさら)、
『以外』は意外に筒井康隆っぽかったのが収穫。
パンフレットはほんとに横長なんですよ下のは。