時々思いついて書く映画の感想

2005

01/05

塚本晋也監督『ヴィタール』

01/11 周星馳チャウ・シンチー監督『功夫 カンフーハッスル』
03/14 陳木勝ベニー・チャン監督『新警察故事 香港国際警察/NEW POLICE STORY』
04/18 劉偉強アンドリュー・ラウ 麥兆輝アラン・マック監督
『無間道III インファナル・アフェアIII 終極無間 』
05/21 杜[王其]峰ジョニー・トー監督『PTU』
07/03 クリストファー・ノーラン監督『バットマン ビギンズ』
07/04 ブレック・アイズナー監督『サハラ 死の砂漠を脱出せよ』
07/05 ルイ・レテリエ監督『ダニー・ザ・ドッグ
07/06 楳図かずお 恐怖劇場
07/10 ジョージ・ルーカス監督『スターウォーズエピソードIII シスの復讐』
07/25 実相寺昭雄監督『姑獲鳥の夏』
07/30 爾冬陞 イー・トンシン 監督『ワンナイト イン モンコック 旺角黒夜 』
08/08 三池崇史監督『妖怪大戦争』
08/25 白石晃士監督『ノロイ』
09/13 スティーブン・スピルバーグ監督『宇宙戦争』
09/26 イム・ピルソン監督『南極日誌』
10/03 徐克ツイ・ハーク監督『七剣 セブンソード』
10/12 劉偉強アンドリュー・ラウ 麥兆輝アラン・マック監督『頭文字D』
11/01 阮世生ジェームズ・ユエン監督『神經侠侶』
11/03 ロバート・ロドリゲス フランク・ミラー監督『シン・シティ』
12/17 杜[王其]峰ジョニー・トー監督『大事件 ブレイキングニュース』
12/19 ピーター・ジャクソン監督『キングコング』
12/25 マイク・ニューウェル 監督『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』
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塚本晋也監督『ヴィタール』

1日は映画の日で1000円均一なので、映画見に行ったわけですが、何しろ主だったものは去年末までに見に行ったし、新規公開の『カンフーハッスル』は後日家族と行く予定なので、こういう映画に。

が、パンフレットが無かったので映画の画像そのものはないです。でまあ塚本監督の映画も劇場で見るのは実は初めてかも。題材は死体解剖という衝撃的なものですが、肉体と精神、生と死についてまじめに向き合った、映画でしか語れぬことを語るまじめな、しかも恋愛映画でした。その、映像の力はものすごいです。

周星馳チャウ・シンチー監督『功夫 カンフーハッスル』

今思うと『少林サッカー』はあれでもずいぶん世界向けに、一般的にしてたんだなあというのが、一昨年の秋ごろから香港映画を立て続けに見た後付けの感想。だからこそあれだけのヒットになったという見方も出来るだろうけど。通常の香港映画はもっと際どくやり過ぎで唐突なもの。今回のは題材がまさに香港映画そのものであることもあって、グロ−バルな配慮は薄め、まあもろな残虐シーンを画面外にするなど一応無いことはないけど、お話としては正当な香港映画に立ち戻った感じ。話としても『食神』とだいたい同じだし。やりたいことをすべてぶち込みました感がたまらなくいい。また、たとえコメディであろうとも暗黒街のギャング団と、貧民街のカンフーマスターたちが命を懸けた死闘を繰り広げるのだから、死人がでるのは当たり前で、そこをマイルドにしないのはグー。
パンフでも公式サイト(日本の)でも出演者、スタッフに関して漢字表記が無いのはいかんじゃないの。見たのは字幕版だったけど、公開直前(のはずだった)TVスペシャルによると吹き替え版ではまた素人のアナウンサーが大挙出演してるらしく、そういうのもなんだかなあ。

陳木勝ベニー・チャン監督『新警察故事 香港国際警察/NEW POLICE STORY』

香港ほかアジア圏では大ヒット、評判も高いジャッキーの新作を、都内ではここだけが香港版NGバージョンを上映してるという有楽町すばる座に見に行ってきました。場内は多分同じ動機でそこに来た人たちで満員。グッズもほとんど売り切れ状態。パンフレットの裏表紙と折り返し部分が香港版ポスターのセットになっててグー!
主演はもちろん成龍ジャッキー・チェン。共演に謝霆鋒ニコラス・ツェー、悪役に呉彦祖ダニエル・ウー。監督は『WHO AM I?』の陳木勝ベニー・チャン。と、この組み合わせは『ジェネックス・コップ』から、ということもあってか、クライマックスは同じ場所コンベンションセンター。今回は爆破されませんが。
だいたい悪役が似あうヒコソこと呉彦祖ダニエル・ウー、今回ももちろんいいんだけど、仲間の連中が強力でいい味出してます。ところが、今回驚いたのが、『ジェネックス』の頃はかっこつけてるだけだった謝霆鋒ニコラス・ツェーがすごくいいこと。脚本や役柄もよかったんだけど、本人もいい感じに成長してきてるようで、先が楽しみになってきました。

まあさすがにジャッキーあの年で婚約者がどうこうという設定はちょっとどうかと思わなくはないけど、それによってもたらされるドラマ上の効果の方が大きいので難点というわけではない。その辺の役柄がなんとなく『男たちの挽歌』の張國榮レスリー・チャンの役のことを思いだしたんだけど、後でパンフを読むとジャッキーの役名は陳國榮なのね。この辺はどういう意味なのか香港映画ファン歴が浅い身としてはよくわからず、詳しい人のご意見をお伺いしたいです。
で、若手に花を持たせつつもドラマチックな主人公をきっちり演じるジャッキーと、どの方面のファンの期待も裏切らない映画に仕上げた監督の職人芸に脱帽。キャッチコピーに『香港映画を越えた』とかあるけど、まず観客を楽しませるというこれこそが香港映画の本道であるのではないかと。

劉偉強アンドリュー・ラウ 麥兆輝アラン・マック監督
『無間道III インファナル・アフェアIII 終極無間 』

待望の3部作完結編。1作目の直後から始まり、その数カ月前、数ヶ月後を行ったりきたりの上に妄想なのか現実なのかわからない場面が入り組み、ややこしいつくり。まあそうだからこそ、生き残ってる劉徳華アンディ・ラウだけでなく梁朝偉トニー・レオンも黄秋生アンソニー・ウォンも曾志偉エリック・ツァンも出番があるわけですが。さらに新登場のガラスの目をもつ黎明レオン・ライ、『英雄』の皇帝陳達明チェン・ダオミンまでからんでしかもこの二人がどういう立場なのか終盤までわからずそういう意味ではかなーりストレスのたまる映画。しかし!陳達明チェン・ダオミンがなにやってもかっこよく、すげーです。

杜[王其]峰ジョニー・トー監督『PTU』

ノワールもの『暗戦』ラブコメ『ニーディング・ユー』ワイヤーアクション『ワンダーガールズ 東方三侠』ほか多方面に渡って傑作をしかもすごい早いペースで撮り続けるジョニー・トーのこれは『鎗火  ザ・ミッション/非情の掟』に連なる系譜の作品。ヒットさせるために作るものと区別して自分が撮りたいようにだけ撮るというものなんで、宣伝で言う『ノワールもの』というジャンルと思ってるとバナナの皮ですっ転ばされることになります。劇中で転ぶのはトー作品の常連林雪ラム・シューの刑事だけど。いやこの、今どきほんとにバナナで転ぶところでこの映画の正体に気づかなきゃいけない。話はその刑事の拳銃が失われ、香港黒社会の抗争が激化しそうな中、任達華サイモン・ヤムが隊長のPTU(Police Tactical Unit警察機動部隊)の面々と刑事が深夜の九龍尖沙咀で遭遇する事象が一つに収斂して行き…………あちらこちらで明らかにギャグを、シリアスな口調とシャープな映像(と安い音楽)で笑いにくく語っていってラストはかっこいい大爆笑。『ザ・ミッション』と同じく大人のためのおとぎ話。離れ業で力技。うちてきには大絶賛ですが、万人にお勧めはしない映画。こういうのを作れるようになりたいもんですわ。

クリストファー・ノーラン監督『バットマン ビギンズ』

まず最初に断っておくと、劇場版バットマンの1作目はともかく世評の高い2作目はあまり好きじゃあない。暗いからではなく、ティム・バートンの自己憐愍が鼻について。逆に4作目『Mr.フリーズの逆襲』は結構好き。にぎやかな見せ物に徹してるのは悪いことじゃないと思う。「本当のバットマンはあんなじゃない」なんていうほど原作をちゃんと読んでるわけでもないし。
「あんな格好してる男は正義の味方でもキチガイ」の1,2「だってコミックが原作だもん」の3,4、でもこの後に『スパイダーマン』1.2で「コミックの約束事って現実としてどうよ」という態度が出てくる。そうはいいながら、もともと原作好きな監督はヒーローとしての見せ場は現実的な裏付けを付けながらちゃんともりあげる。
で、今作に至るともう「約束事って何よ?」まあ何しろ超人や突然変異じゃなくて、肉体的には普通の人間が主人公なんで、ある意味もっとも現実として作れるわけで。コスチュームや車、洞窟などコミックとして現されるすべての事象に理屈をつけようとする映画。いや、すごいっすよ。最終的にはバットマンだけでなく敵として現れれる怪人達にまで理屈つけちゃうんだから。
余裕のマイケル・ケイン、徹頭徹尾いい人のゲイリー・オールドマン、この二人がいつ怖くなるのかとおびえながら見てましたがそんなこともなく、なんでももうけ役にしてしまうモーガン・フリーマン、え、悪役って初めてなののリーアム・ニーソンとまあどの場面でもこの人たちと共演してるクリスチャン・ベールは大変そうでありました。見てるうちにニコラス・ケイジとドニー・イェンの中間の顔に見えてきましたが。Dr. クレイン=スケアクロウのキリアン・マーフィーは映画前の予告編に出てた八嶋くんに似た気がして、いつトリビアのおさらいをしてくれるのかとか。渡辺謙はもうちょっと活躍して欲しかったなあ。
バットマンの活躍はホラーを基調にしてるのでアクションシーンが暗くてよくわからないくても別に問題なし。あとはバットマンの衣装を着ての初出撃とかいくつかの場面がもうちょっと高揚感があってわくわくさせてくれるとよかったかなあ。
なんにしろ蝙蝠の映画としては100点満点です。

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ブレック・アイズナー監督『サハラ 死の砂漠を脱出せよ』

新潮文庫で『QD弾頭を回収せよ』が出たときはビックリしたなあ。すごい面白くて。その前に出てた『氷山を狙え』『タイタニックを引き上げろ』を古本屋で買い、その後の新刊はずっとすぐ買って読み。前に映画化された『レイズ・ザ・タイタニック』もわりと好きなんだけど、原作者カッスラーにはダメだったらしいですねえ。
で、今作。主人公ダーク・ピットは前の諸口あきらに似たリチャード・ジョーダンに代わってちょっとなよっとした感じのマシュー・マコノヒー。『岩を削ったような』風貌にはほど遠いけどまあいいや。相棒アル・ジョルディーノ役のスティーブ・ザーンはほぼイメージ通りでグー。ペネロペ・クルスは結構好きなんで、でててうれしいというか、原作のヒロインはどういうキャラだったか覚えてないんですが。
前日に見た夜ばっかみたいだった『バットマン ビギンズ』からうって変わって昼ばっかみたいな映画。冒頭部、南北戦争の最中から脱出する鉄甲艦の場面が印象的な夜で、実はこれだけでもうわくわく感いっぱい。そのままラストまで突っ切ってしまうので、『現代のホラ話』の映画化としてはなかなかいいんではないでしょうか。
劇中砂漠のど真ん中で発見する古い飛行機についてたしか原作では誰の、という説明があってそれがまた良かった気がするんだけど、映画では説明なくてちょっともったいない。
シリーズ化するんであれば次回以降は窮地に陥ったダークを助ける謎の老人(という役回りなのに準レギュラー)を原作者自ら演じて欲しいですねー。

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ルイ・レテリエ監督『ダニー・ザ・ドッグ

子犬のようにピュアで、狂犬のように強い主人公に李連杰.ジェット・リー、彼に人間性を戻させる盲目のピアノ調律師にモーガン・フリーマンというだけでほぼ成功は約束されたようなもので、その気で見ればほとんどの場面が名場面。予告でも見られるけど、まさかアイスクリームを食べるだけで感動的になるなんて。
そのかわり設定が無理あり過ぎで、誰が格闘技を教えたのかとかこの世界に警察はいないのかとか、リアリティを少しでも求めるとあっという間に破綻しまくり。たとえば杜[王其]峰(ジョニー・トー)監督.『鎗火  ザ・ミッション/非情の掟』『PTU』なんかはリアルな世界の中でちょっとずつありそうもないところに持っていくところが『大人のおとぎ話』になってるんだけど、この映画は出発点がうそっぽいところが逆で、いやしかしそのおかげで名場面が成立してるというバランスもあり難しいなあ。
悪役のボブ・ホスキンス、どうもどっかでダニー・デビートと混同してしまい、主人公の方がダニーなんで混乱してるのはオレだけですか。

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楳図かずお 恐怖劇場

テレビで観て怖かった番組のベスト3にも入ろうかというのが『怪談 整形美女』原作は楳図かずお『黒い猫面』テレビといえどドラマ系はフィルム全盛でビデオ撮りはまだちょっと珍しかった73年のもので、そのビデオ映像の鮮血の赤さがいまだにトラウマ。今見るとどうなんだろ。その後、大場久美子、工藤栄一監督の『おろち』かなんかもあったけどなあ。
さて今回の映像化は6本の中編を2本ずつ週替わりで上映というスタイル。公式サイトはここですが、もっと分かりやすい解説はこちら

1週目
『蟲たちの家』
緒川たまきが『嘘つき』というトリビアな話。
時系列と主観の交錯が巧みすぎ。

『絶食』
悪かあないけど、途中のひねりがあるとはいえ、この落ちに至るまでとしてはちょっと長いかなあ、と思ってたら、次週からは特別短縮版も上映とか。


この2本は人間の心理系でした。

2週目
『まだらの少女』
少女たちの芝居とか蛇女の造形とかいかにも楳図的。ちょっとチープな部分もかえって効果的かと。

『ねがい』
これはもう、モクメのインパクトに尽きるんですよ。前半主人公の少年とモクメの交流の部分をさらっと流して回想部分で見せてくところがグーなんだけど。

怖い少年ドラマシリーズ2本立てといった感じ。

3週目
『プレゼント』
ぶっちぎりのスプラッターなんだけど、何も起きないときの演出がすごくいい。スプラッターも度外れて容赦ないですが。後半話をまとめにはいってからがちょっと惜しいかも。

『DEATH MAKE』
ネタばれになりそうで書きにくい。どこにもってかれるかわからない展開や、得体のしれない恐怖がいいですよ。


この6本目を見始めて初めて今回のものに幽霊ものがなかったことに気づく。もともと楳図原作に幽霊ものはほとんどないとは思うんですが。
『邪眼霊』から『呪怨』まで霊の恐怖を追ってきた日本のホラー映画の次の段階の幕開きだったのかも。

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ジョージ・ルーカス監督『スターウォーズエピソードIII シスの復讐』

ついに完結。感無量というほかありません。いろいろあるけどまた4〜6を見たくなる映画。

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実相寺昭雄監督『姑獲鳥の夏』

原作のダイジェスト具合は丁度いいくらい。というか11年前に読んだきりですっかり忘れてたのでああ、こういう話だったかと。映像そのものはいいけど、実相寺調は物語を描くには不似合いなのか、上手くかみ合ってないような感じ。映像だけで楽しめるほどには実相寺ファンではないな。
セットとキャストは一見の価値あるけど、主演者の台詞回しは弱い。「この世には不思議なことなどないのだよ」の決め台詞、原作者の方が上手いというのは役者としてどうなのよ、とは一応『言霊使いの罠』担当演出からは書いておきます。

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爾冬陞 /イー・トンシン DEREK YEE脚本 ・監督『ワンナイト イン モンコック 旺角黒夜 』

香港・九龍の旺角で一晩の間におきる警察と黒社会と他の人々の群像劇。というと杜[王其]峰ジョニー・トー監督『PTU』とおんなじ様な感じなのに(どっちにも林雪ラム・シューでてるし)、『つきせぬ思い 新不了情C'EST LA VIE, MON CHERI』『野獣たちの掟 人民英雄』の爾冬陞だとこうも違うのかという映画。『PTU』がリアルそうでも「これはうそだぜ」という作り物めいた肌合いに対し、こちらはどこをとってもいかにもありそうな画面や展開。まああえていうなら偶然の出会いが何度かあるところがご都合主義っぽく見えるでしょうが、実際に旺角、尖沙咀界隈をうろつくとその狭さ、範囲の小ささにおどろき、あの町なら何があっても不思議はないという気になります。東京でいえば池袋新宿間くらい、京都なら三条から五条の間しかも東西は狭いって感じかな。
田舎から出てきた青年は貧しさのために殺し屋になるところ、同じ地方出身の娼婦と知りあい、しかし大都会のいろんなことに巻き込まれて切ないラストを迎える…………見終わった瞬間にどこかで見た気がしたのは『PTU』ではなく、『特捜最前線』。そう思うともう方中信アレックス・フォンの刑事が本郷功次郎に思えてしょうがない。このキャラクターは『鎗王 ダブルタップ』と同じ人、と言うことなので、今度見るとそちらも『特捜最前線』に見えちゃうかも。
主演の呉彦祖ダニエル・ウーと張栢芝セシリア・チョンは見た目が良すぎてそんな貧しい地方出身には見えにくいけど、どちらも今まででいちばんよかったなあ。

三池崇史監督『妖怪大戦争』

もう間違いなくこの夏のベスト1。
冒険と成長、異世界と現世、人間と妖怪、田舎の日常と都会の大スペクタクル、
いろんな要素をてんこ盛りにしながらどれもきちんと見せてしまう職人演出技が炸裂し、
ハードに怖い要素もあるのにこれ以上もないチョーバカでもあるという、すごい映画。
何より驚いたのは『ロード・オブ・ザ・リング』や『ハリー・ポッター』に
対抗しうる純和風のファンタジーとは何かと言う答えは『妖怪』であった、ということ。
当たり前のようなことですがこの映画で初めてわからされました。
なんで今までこういうのがなかったのか不思議なくらい。
主題歌のみならずクライマックスで使われる挿入歌がうちの家族で大人気、
映画館で見た後すぐその場でサントラを買うなんて初めてですよ。
そしてこの映画のテーマの一つでもある『小豆は身体にいい』
帰る途中で小豆アイスを買って食べまくり。

並の日本映画5本分くらいの要素が入ってるんじゃあないかなと言う高密度なんですが、
いくつかの重要な要素はデジモンシリーズ、
特にアドベンチャーと02,テイマーズとかぶりまくりで、いいとこ取りというか、
ちょっと悔しい出来ですよ。主人公も『タ』ではじまる名前だし。
デジモンもまあ妖怪の一種だしなあ。

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白石晃士監督『ノロイ』

失踪した怪奇実話ドキュメンタリー作家が最後に残したビデオを
映画として再構成したという体裁の映画。
和製『ブレアウィッチ』というより、『邪眼霊』という先駆けに
どれだけ迫り凌駕できるのかが楽しみで見に行くわけですが。
結論としては『邪眼霊』ってやっぱよく出来てたんだなあというと。
ドキュメンタリー仕立ての割にあちこちでリアリティを損なってるのが乗れないところでした。
と、思ってたら、上映終わって明かりがつくと定員の半分くらいいた客のうちの
かなり若い層、20代前半くらいの女性ならともかくおにーちゃんたちに
結構な涙目になってるのがいて、形式としては有効だったみたいですね。

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スティーブン・スピルバーグ監督『宇宙戦争』

公開前にはまるで期待してなかったのでいつまでも見に行かなかったのが、
いろいろ評判を聞くにつけ、あれ、これは劇場にで見といたほうがいいのかもと、
思ってたところで丁度空いた時間が出来たので見てみましたらこれがもう!!
人類皆殺し系怪獣映画として出色の出来。
とにかく人間の兵器はまるで役立たず宇宙人のウォーマシンは無敵。
町の崩壊、落ちた旅客機、転覆するフェリー、全滅する軍隊と
パニックスペクタクル感も見事なつるべ打ち。
後半地下室に閉じこもる場面はもちろん50年前の
ジョージ・パル版のオマージュなんだろうけど、最近ので既視感が。
その前後での親子の絆みたいなことがまあ
人物上のストーリーのテーマってとこもふくめてなんすけど、
世界規模の侵略を個人規模で語るという点でこれは
『インディペンデンス・デイ』『マーズ・アタック』とならべるよりも
『サイン』に近い映画だったんですね。
あれをもっとはでにやっちゃったみたいな。
植民地主義に警鐘を発したウェルズの原作と
その植民地に生まれたシャマラン監督の皮肉っぽいスタンスの差を、
オレならこうやるぜという感じの映画。
これでトム・クルーズじゃなかったらもっと面白かったのに。
ラストのクレジットにある『セーラームーンBGM』は
ダコタ・ファニングが見てたテレビにでもかかってたのかなあ。

イム・ピルソン監督『南極日誌』

舞台は何しろ自然が極限に厳しい南極、
『殺人の追憶』ですっかりファンになったソン・ガンホが主演で
探検隊の隊長役となれば、その自然の厳しさに
だんだんおかしくなってく人の役と思うでしょ。
そしたら実は最初からちょっとおかしい人らしいというのがわりに早めに明かされ、
80年前のイギリス探検隊の日誌を発見した辺りから
心霊現象っぽいこともおきはじめて。
この映画は『セッション9』よりも『デス・フロント』に近い映画なんでは、
と期待が高まりつつも、
最終的には結構最初に予想してたところに近い線で終わるのがちょっと惜しい。

徐克ツイ・ハーク監督『七剣 セブンソード』

何しろ香港系映画をちゃんと見始めたのがここ二年くらいなんで、
徐克ツイ・ハークの監督作品を劇場で見るのはこれが初めて。
武侠ものとしての前作『天上の剣 The Legend of ZU蜀山伝』が
全編ド派手な見せ場、特撮CG満載超人軍団お祭り映画だったのと対照的に
達人とはいえ人間レベルでの戦闘が描かれるアクション巨篇。
色調もちょっと渋い。
おかげで暗いところの戦闘は誰がなにやってるかちょっと分かりにくいところもあり、
もったいないような気もするけど、けばいカット割を避けた撮り方はかっこいい。
劉家良ラウ・カーリョンのアクションはもっと見たいです。
物語面というか、お話を見せるほうではダイナミズムに欠けてるので、
四時間あったという元通りの長さのDVDとかでるとちゃんとしてるかも。
七人の剣士の個性はその剣で現してるのだけど、今回驚くのは
黎明レオン・ライと甄子丹ドニー・イェンがちゃんと共闘してて、
黎明がちゃんと強い。それよりも甄子丹がもてもて!
いろいろ細かいところでもありがちな、定石っぽいところを外してる映画ですが、
個人的には終わり方に一番驚いてしまいました。
続編期待。

劉偉強アンドリュー・ラウ 麥兆輝アラン・マック監督
『頭文字D』

『無間道 インファナル・アフェア』3部作の監督コンビが
次に挑んだのが日本のコミック原作もの、
しかもスタッフ、キャストはほとんど香港人なのに
舞台は日本のまま撮影と言うへんてこりんな経由ながら出来はもうばっちり。
自分は免許もないので原作は普通なら未読のままなところが、
たまたまアニメ版はちょっとだけ手伝ったこともあり、
おおまかな人物配置は知ってた、と言う程度の原作の知り具合から見ると
すべての配役がイメージ通り。
黄秋生アンソニー・ウォンのくそオヤジ、
陳冠希エディソン・チャン、余文樂ショーン・ユーの走り屋達、
杜[シ文]澤チャップマン・トウのばかさ加減というところは
まあ予想通りとしても陳小春ジョーダン・チャンがかっこよくてビックリですよ。
字幕版で見たのでクレジットではTAKUMIと記されてる主人公拓海が
「タッホーイ」と香港読みされてるのも面白かったです。

もちろん公道レースシーンは迫力も撮影もテンポも編集もよく、
大満足でしたが、あの手の映像をゲームでやり込んでる人たちや
実際の走り屋さん達の評価はどうなのかな。

阮世生ジェームズ・ユエン監督『神經侠侶』

まじめだけどいまいち覇気の失せてる警官・陳奕迅イーソン・チャン
そこに配属された元気のいい新人婦警容・祖兒ジョイ・ヨン
この二人が主軸で、『PTU』『ワンナイト イン モンコック 旺角黒夜 』とは
また違っただらっとした日常の香港が描かれるわけです。
爆笑コメディではなく人情喜劇。後半、ちゃんとした事件があって
それなりに盛り上がりはするけど、そんなのなくて
だらだらとしたほんわかのまま終わっても全然OKな感じ。
邦画じゃそんなこと絶対思わないのに、香港映画だとそれでいいと思ってしまうのはなんでかなあ。
で、もう一人の主役・呉鎮宇(フランシス)ン・ジャンユーは
いい人なんだけど、ちょっとおかしくなってる人。ぴったりすぎ。
他にも林雪ラム・シュー、李子雄レイ・チーホン、
李燦森サム・リー、方中信アレックス・フォンなどが2,3シーンずつ、
ぴったりの役で出てきて、なんかもう昔の吉本みたいですよ。
上映会場は思ったよりも多くの客で8割の入りしかも女性がほとんど。
上映自体はビデオだったけど、内容が面白いのと
ハードなアクションものでもないのでが面的にはそれは気にならず、
右横の日本語字幕のほかに下に中国語と英語の字幕がでるのがよかったなあ。

さて、香港といえばここの二階の『香港紀行』2004年6月の分で
映画のロケに出くわしたことを記してありました。
雑誌売りの露店が撮影場所で、しかしなんの映画かはわからなかったのが、
どうやらこの映画だった模様。呉鎮宇のお姉さんが雑誌売りという設定なんで、
再三その場面が出てきて何となく見覚えのある場所、と思い
後でそのロケ現場を撮った写真を調べたらビンゴ!
その一部に写っているのは

ちょっと写りは悪いけど、どうやら主演の祖兒ジョイ・ヨンではありませんか。
あのまま見てたら呉鎮宇もいたのかなあ。
映画祭では他にいろいろみたい映画あったのに、
この1本だけが丁度見られたというのは何か縁があったんでしょうかねえ。

ロバート・ロドリゲス フランク・ミラー監督『シン・シティ』

ほとんどモノクロの映像とタイトル音楽が素晴らしくかっこよさそうな映画。
筋立てやキャスティングも悪くないのだけれど。
3話オムニバスの各主人公がずーっと独白してるのが趣味に合わないというか
そうでないほうが映像のスタイリッシュ感が際立ったのではないかと。
もっと突き放して渋いか、バカで派手か、だったらよかったのになあ。
両方兼ね備えてるとさらに。

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杜[王其]峰ジョニー・トー監督『大事件 ブレイキングニュース』

丁度今月のチャンネルNECOでは『PTU』が放映されてます杜[王其]峰ジョニー・トーの大評判作。
冒頭とクライマックスの1カット長回しもすごいし、これまでのサスペンスもの
『鎗火  ザ・ミッション/非情の掟』『PTU』と違って
昼間を舞台にしたというのも冒険というか実験かも。
緊迫する場面の盛り上げ方の上手さは他の追随を許しません。
いやしかしねー、そんななかでも芋食っておならとか
犯人側の料理場面とか警察側がみんなで弁当食べるとか
変なものが紛れ込んできてしかも違和感ないので
いったいどういう方向に進む映画なのか予測がつかない展開。
しかもそういう場面にかかる音楽のセンスは何と言いましょうか、
まねできないものが。
おそるべし杜[王其]峰ジョニー・トー
 犯人役任賢齊リッチー・レンはえっと思うくらいかっこよく
熱血刑事張家輝ニック・チョンは『決戦・紫禁城』とはまるで違って見え
、陳慧琳ケリー・チャンはきりっとしてきれいで
林雪ラム・シューは相変わらず運が悪く
任達華サイモン・ヤムはちょっとしか出ません。
恐ろしく計算していながらぶっきらぼうなつなぎ方。
でもって終わり方はやはり大人のおとぎ話。
なるほどなあ。

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ピーター・ジャクソン監督『キングコング』

有楽町にハリポタを見に行きました。
もう公開して何週か経つし、小屋も大っきいから大丈夫だろ、でも一応、
と約1時間前についたのにもう満席。
次の回だと帰りが遅くなりすぎ。
急遽予定変更でやはり前売りを買っておいた『キングコング』を見ることに。
こちらは上映を二館でやってたせいか丁度すぐの回に。
で、『キングコング』ですが。この素材で出来ることは全部やってやるぜ
みたいなとこはすごくいいんだけど、なんつーか、
『スパイダーマン2』の時と同じようなことで、欠点がないけど上品過ぎというか。
いやちゃんとグロいとこもある。
でももっと活劇で見たかったなあみたいな。
無い物ねだりかなあ。

マイク・ニューウェル監督『 ハリー・ポッターと炎のゴブレット』

監督がイギリス人になったせいなのか、色調が渋く、
何気ないカットが映画的に好みな画面。
2作目までは原作を読んでからみてたのに前作から未読のまま見るようになって、
するとラストの苦さに驚きまた納得。
これからどんどんシビアになっていくのかな。
最初からこの調子だと、これほどヒットしなかったろうし、いい流れのような気が。

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