時々思いついて書く映画の感想

2004

02/06

ポール・ハンター監督『バレット モンク BULLETPROOF MONK』

02/09 原口智生監督『跋扈妖怪伝 牙吉』
02/16 ピーター・ジャクスン監督『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』
02/23 山内重保監督『聖闘士星矢 天界編序奏〜OVERTURE〜』
三池崇史監督『ゼブラーマン』
03/01 ジョニー・トー監督『全職殺手 フルタイム・キラー』
03/19 ロバート・ロドリゲス監督『レジェンド・オブ・メキシコ』
04/17 何 平〔フー・ピン〕監督『ヘブン・アンド・アース 天地英雄』
05/7 ポン・ジュノ監督『殺人の追憶』
05/15 荒牧伸志監督『APPLE SEED』
05/18 ジョー・ジョンストン監督『オーシャン・オブ・ファイヤー』
05/24 ジョニー・トー監督『鎗火 ザ・ミッション/非情の掟』
05/26 ロー・チーリョン監督『カルマ INNER SENSES異度空間』
05/27 キム・ジウン ノンスィー・ニミブット ピーター・チャン監督『THREE 臨死』
06/25 イ・スヨン監督『4人の食卓』
06/27 ベニー・チャン監督『雙雄 ヒロイック・デュオ 英雄捜査線』
09/03 張藝謀チャン・イーモウ監督『LOVERS 十面埋伏』
09/04 アルフォンソ・キュアロン監督『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』
09/05 サム・ライミ監督『スパイダーマン2』
09/06 キム・ジウン監督『箪笥』
09/07 吉田秋生鈴木浩介佐々木浩久三宅隆太、豊島圭介、雨宮慶太、平野俊一監督『怪談 新耳袋』劇場板
09/23 ギレルモ・デル・トロ監督『デビルズ・バックボーン』
09/24 スティーヴン・ソマーズ監督『ヴァン・ヘルシング』
09/27 劉偉強、麥兆輝監督『無間道II インファナル・アフェア 無間序曲 』
10/17 激突!! 亜細亜颱風韓流VS.タイ道『TUBE -チューブ-』『ボーン・トゥ・ファイト』『ガルーダ』『リザレクション』
11/08 清水崇監督『稀人』
12/26 小中和哉監督『ULTRAMAN』
12/27 ブラッド・バード監督『Mr.インクレディブル』
12/28 北村龍平監督『ゴジラ FINAL WARS』
12/29 ポール・W・S・アンダーソン監督『エイリアンVSプレデター』
12/30 トニー・スコット監督『マイ・ボディーガード』
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ポール・ハンター監督『バレット モンク BULLETPROOF MONK』

監督もナンだけど、脚本もアレだなー。
大きなスクリーンで周潤發(チョウ・ユンファ)が見られればそれでいい
という人以外にはお勧めできないかもー。
この映画で腰を痛めてアニタ・ムイの葬儀にも出席できなかったというので、
何とか早く全快して元気な姿をスクリーンで見せて欲しいものです。
でも嫌いじゃない映画。

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原口智生監督『跋扈妖怪伝 牙吉』

特殊メイクの巨匠原口君の3本目の監督作品。
『さくや妖怪伝』につづいて妖怪時代劇。
今度は無宿者が主人公で、しかも人狼という、いい設定。
渋谷で単館上映。
初日の舞台挨拶も見てきました。
主演の原田竜二さん、最近は水戸黄門にもレギュラーですね。殺陣がよく決まります。
撮影も京都の必殺などのスタッフなので、いかにも時代劇な画面づくり。
今回上映されるのは第1部で、第2部〔監督は別〕はビデオリリースのみらしく、
お話としては両方合わせての方がいいのかも。

ピーター・ジャクスン監督『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』

3部作完結編。
とにかくどこをとっても原作『指輪物語』のあの場面はこの画面、
とイメージがそのままなのは奇跡的と言ってもいいほどで、
予算と才能だけが寄り集まっても早々簡単にできることじゃあありません。
話というかドラマとしちゃあサルマン〔クリストファー・リー〕の出番が削られちゃったのは
まあしょうがないけどー。
CGを駆使した大軍勢の城攻め、特にオリファントのくだりはそりゃあもうすごい、
ルーカスが『帝国の逆襲』でいかにこれをやりたかったかがよくわかりました。

山内重保監督『聖闘士星矢 天界編序奏〜OVERTURE〜』

香港映画でいえば王家衛監督『天使の涙』みたいな感じでしょうか。
『真紅の少年伝説』が『楽園の瑕』として。(ちがうか)
パンフレットが真っ白だったので〔しかも1200円〕前売り券の画像。


もう1本 地方によってはこの2本立てもあるらしいのが下の

三池崇史監督『ゼブラーマン』

こっちはパンフレットが売り切れてたので前売り券の画像。
劇場も大きなところに変更、というか『半落ち』と取っ換えになってました。
もちろんこのスタッフ、キャストでただのヒーローものであるわけもなく
そのわりには割と真っ当なヒーローでもあるという微妙な地点にいる映画。
砂を噛むような後味の悪い部分もあれば
いまどきこんな『タイガーマスク』と『ハイジ』と『ダンボ』のつるべ打ちかよ!
みたいに盛り上がる部分もあり。
哀川翔って、まるでかっこよくない人がじつによく似合うんだけど
いざとなったときが決まる所がすげーなあ。

ジョニー・トー監督『全職殺手 フルタイム・キラー』

亜細亜No.1の殺し屋『O(オー)』と、その地位を追う新進気鋭の不気味に明るい殺し屋の対決。
この映画の唯一の難点は反町隆史がとてもNo.1の殺し屋に見えないこと。
黙って歩いてるだけならまあまあ、活劇場面になると身のこなしがちょと良くない。
英語も中国語もしゃべれない役なのに日本語すら聞き取れねーことがあるのもなんだか。
追うほうのアンディ・ラウのなれない日本語セリフが思ったよりすごく多くて驚き、
微妙にイッちゃった演技もグー。
かっこよさ一番の活劇『鎗火 ザ・ミッション/非情の掟』『暗戰 デッドエンド』のジョニー・トゥ監督、
その2作よりは娯楽方面に拡大してつくってみましたという感じで、
どれもただのシリアスものと違うのはどこかで大人のためのおとぎ話にしてるとこでしょうか。
それが行き過ぎてアンディ・ラウとの新作『大隻イ老』はあちら版の字幕で見ると
話がよくわからなくなってるので早いとこ日本語字幕でみたいもんです。
つーか、『鎗火』も『暗戰』も『PTU』もスクリーンで見たかったなあ、今ごろいってもなんだけど。

後日『鎗火』は無事スクリーンで見ることが出来ました。こちら

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ロバート・ロドリゲス監督『レジェンド・オブ・メキシコ』

ケーブルTV3月のチャンネルNECOは『男たちの挽歌』1&2放映で、
香港版DVD買ったのに放映の度についみてしまうわけですが、
二梃拳銃撃たせたら世界一が周潤發(チョウ・ユンファ)とするなら
西洋人で一番は間違いなくアントニオ・バンデラスですね。
(『リベリオン』の人はもっと頑張るように)
今回は更にジョニー・デップ、ウィレム・デフォー、
ミッキー・ロークが加わってどうなることかと思いきや、
いい意味でかなり驚かされました。
この人物のからませ方というかはぐらかし方というか、
話のもって行き方はまるで今どきのハリウッドぽくなくて
柴練とか五味康輔とかの時代小説みたい。
出てくる連中がまたあらかたかっこよく、キャラ立ちまくり。
いやそれよりもテンポ、編集センス、特にアクションの見せ方が
もう詩的と言っていいくらいすばらしい。
よく出来てはいるけど単純なアクション映画だった
『デスペラード』からまた別の次元に昇ってるような感じ。
こっちの方が好きだなあ。

何かに似てると思ったけど、出崎アニメだ。
『ゴルゴ13』とか。

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何 平〔フー・ピン〕監督『ヘブン・アンド・アース 天地英雄』

ロードショウで見そこねたので、文芸座の2本立て、それもラスト1本割引で鑑賞。
1000年前の中国を舞台に遣唐使の中井貴一が大活躍。
チラシの惹句に偽りありで、「日本に帰りたくば友を暗殺せよ」でなく
「皇帝の命令で逆賊を始末しにいったら友になってしまった」が正解。
その相手、チアン・ウェンが若いころの北村和夫に似てるんだけど渋くかっこよく、
中井貴一がそれに負けてないのがグ〜。
日本映画でこんなかっこいいとこ見たことないや。
共演のヴィッキー・チャオで思いだすのが『決戦 紫禁城』で(笑)
その中でいい味出してた皇帝密使009役ニック・チョンに今作の悪役ワン・シュエチーが、何となく似てておかしい。
撮影が押したとかでちょっとしり切れトンボ気味なのとたまに入るCGがやや安っぽいのをのぞくと
中国西域の風景がじつに素晴らしく、岩山の間を抜ける隊商はモニュメントバレーで撮った西部劇も思わせます。
牛でなくてラクダだけど。
アクションは時々カメラがよりすぎて何だかわかんないとこもあるんだけど、
数十人が馬上で剣を抜いて全力でぶつかって斬り結ぶなんてすごいっすよ。
タイトルに『天地英雄』なんてあるけど『ワンス・アポンナ・タイム・イン・チャイナ』シリーズの
『天地大乱』だの『天地発狂』だのみたいなハッタリかと思ったら、意外にスケールの大きい話でもビックリ。
惜しいとこもあるけど雄大さとかっこよさでOKな映画。

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ポン・ジュノ監督『殺人の追憶』

1980年代から数年にわたって韓国の農村で起きた連続殺人事件。
いまだ未解決の事件を元に映画化、とあるけど素材が現実にあったことかどうかは
映画の出来とは関係ないわけで。
果たしてどんなものかと見てみるとこれが。
シリアスなドキュメンタリーフィクションの体でなく、
シリアルキラーもののサスペンス風でもなく、
まあそういう部分もあるんだけど、
不似合いなところをぎりぎり踏みとどまってるユーモアというかギャグの入れ方のバランスとか、
伏線とか撮影とか編集とかいろいろ絶妙。
ジャンルにとらわれた映画の見方を拒もうとする、というと
いろんなジャンルから部分を引っ張ってきた作りのように思われそうで、
むしろ逆のジャンルわけの無いところでつくられたかのような映画。
と、思うのはハリウッド映画にならされてるのかなあ。
映画ではなくてサイコサスペンスがブレイクする前のイギリスミステリ辺りならそういうのもあるのかも。
舞台になった年代がちょうど東映動画が韓国に仕事を出してる時期で、
デモや夜間統制のことなど話には聞いたもんです。
自分では行ったことないんで、行ってるとまた違った感があったかも。

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荒牧伸志監督『APPLE SEED』

『デジモンテイマーズ』デジタルワールドデザインやフルCGの進化シーン演出でもおなじみ
荒牧さんの監督作品とあって、3DCGの見せ方を心得た画面づくりが素晴らしい1本。
キャラクターのモデリングもよく出来てて、モーションキャプチャーで動くそれは
2D風にレンダリングされると実にコミックと違和感ない絵柄です。
3コマうちで動いてくれたほうがもっと違和感ないような気がするのは
TVアニメばっかやってるほうからのやっかみですんません(^^;)
アクションシーンがいいのは期待に違わずでしたがクライマックスが
まさか怪獣映画ばりのシーンとなるとは。これがまたすごくて。

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ジョー・ジョンストン監督『オーシャン・オブ・ファイヤー』

原題は『ヒダルゴ』主人公の乗る白と栗毛の斑の馬。
サラブレッドでなくマスタングというのがポイント。
ネイティブアメリカンと白人の混血のカウボーイ、
アメリカで数々の長距離レースに優勝していた彼らがアラブの砂漠でのレースに招かれる。
そのレースが通称『オーシャン・オブ・ファイヤ』という、実話の映画化
主人公は『ロード・オブ・ザ・リング』アラゴルン役のヴィゴ・モーテンセン。
そちらでもさっそうと馬を乗りこなし、その馬と仲よくなりすぎたので
撮影終了後買い取ったという彼は今作のヒダルゴも買い取ったそうです。
熱砂での過酷なレースに略奪者の襲撃、ライバルの謀略、砂嵐、イナゴの大群、お姫さまの救出、と盛りだくさん。
どれもが過不足無く描かれてるのでスケールの大きいことをやってる割には
何となくこじんまりとした印象も受けるものの、抑制の効いた演出はいい感じ。
アラブの首長役といえばこの人オマー・シャリフもなんとも魅力的。

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ジョニー・トー監督『鎗火  ザ・ミッション/非情の掟』
@三百人劇場《 中国映画の全貌2004 》

デジモンシリーズレオモン役やワンピースのサンジ役でおなじみ
平田広明さんの所属する劇団昴の本拠地である三百人劇場で、今開催中なのが《 中国映画の全貌2004 》
うち何本か混じってる香港映画の一本がこれ。
いわゆる香港ノワール、暗黒街ものの一本なんだけど、
ふつうの香港ものが深作欣二『仁義無き戦い』系とするならこれは工藤栄一系とでも言えましょうか、
一線を画したシャープな画面と押さえた語り口なのにテンション高い映画。
製作自体は2000年の作品ですが、去年から立て続けに見まくってる香港映画の中で
実はこれが現代物では個人的ベストで、
レンタルビデオで見た後香港でDVDまで買ってきたんだけど、
今回劇場の大画面で見られてうれしいのなんの。
ビデオでは安っぽいようにも聞こえた音楽も結構いい感じだし。
あ、そうそう、今回の上映でパンフレットを買えたのもいい誤算。

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ロー・チーリョン監督『カルマ INNER SENSES異度空間』

@三百人劇場《 中国映画の全貌2004 》

レスリー・チャン張國榮の遺作と思うと劇中の場面と重なるとこもあって
冷静な評価が下されにくいうえに、
ホラーっぽい売り方してるけど実はそうではない
などの評判ばかり聞いてちょっと腰が引けてたんですが。
やはり百聞は一見にしかず。
確かにストーリー上はホラーではないかもしれないけど怖い場面はしっかりホラー。
『幽霊は主観の中にしか存在しない』と描いてるようにも見える。
と言うことであればむしろ『ファンダメンタルホラー宣言』の小中理論に
近いスタンスでつくられた正当なホラー映画とも言えるわけで。
で、またホラー映画はホラーでない日常の平和な部分をいかに退屈させずに描くか
が重要だと思うんですが、そこが香港映画のテンポは心地よくて実にいい映画でした。
これはビデオじゃなくてちゃんとスクリーンで見られてよかったな。
レスリー・チャンの映画を劇場で見るのは『男たちの挽歌』以来で、
その時の敵役レイ・チーホン李子雄がいい人の役ででてるのもグー。

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キム・ジウン  ノンスィー・ニミブット ピーター・チャン監督
『THREE 臨死』

アジアホラー映画続きます。
韓国、タイ、香港の3人の監督によるオムニバス。

第1話 memories 韓国
ホラーに限らずネタがわかる映画とそうでない映画、
それによって面白くなる映画とそうでない映画という4分類が出来る中で
これはネタがすぐ分かりしかもそのことで面白さがかなり下がってしまうタイプ。
ちょっと前の『世にも奇妙な物語』辺りにありそうな感じ。

第2話 the wheel タイ
これは展開があまり読めないけど、それと面白さがあまり関連してなくて、
妙な迫力は時々あるもののなんだかもどかしい。
坂東真沙子みたいな土着系で、ラストカットはなかなか好き。

第3話 going home 香港
監督陳可辛と主演のレオン・ライ黎明、エリック・ツァン曾志偉といえば『ラブソング』。
あの時はエリック・ツァンに負け負けだったレオン・ライの巻き返しというか。
話もその裏返しとでも言えそうな。
とにかく展開が読めず、しかし終わってみるとストレートな話でもあり、
見る人の気持ちをいかに制御するかという監督の手腕のなせる技ですなー。
『新青年』や『宝石』の短編を思わせるものもあり、この1本だけでめっけもの。

イ・スヨン監督『4人の食卓』

心霊現象もしくはそれに酷似した心理現象があり、
いや〜な気分になる映像もあるがホラーではなく、
隠されたものが次第に明らかになるところもあるが
謎解きものでもなければサスペンスでもない。
そもそも娯楽映画としてつくってないんじゃないのではないか。
個人のトラウマを題材にした社会的メッセージのもの。
あいにく社会派にはあまり興味もてません。
これだけの演出力があるのにねえ。

ベニー・チャン監督『雙雄 ヒロイック・デュオ 英雄捜査線』

かっこよい役では何となくいつもはまってない感じがする
鄭伊健イーキン・チェンがワイルドな敏腕刑事。
その捜査に協力することになったのが黎明レオン・ライ。
こちらは北京出身の医大生の頃に知りあった奥さんを持つという、
あれこれは『Three 臨死』の時と同じような設定ではまり役、
ちょっとちがうのは催眠術の達人の心理学者で、現在は殺人罪で服役中。
しかあし二人が立ち向かう冷酷非道なギャングのボスを演じるのは
呉鎮宇フランシス・ン・ジャンユー、こりゃあ勝てるわけが…………(^^;)

『ジェネックスコップ』のベニー・チャン監督はアクションもテンポも良く、
催眠術を駆使した展開はハリウッドものよりも
次の段階に移るのがちょっとずつ早くて、
ま、それはいつもの香港映画ではあるのだけど、大変楽しめます。
ラストがちょっと弱いかな。

クリアファイルが入場者特典でついてきました。
リピーターには特製ストラップ、さらにTシャツももらえるようで。

たまたま見に行った回でトークショウあり、宣伝会社の人と、中田圭という監督さん。
知らない人だったんですが後で調べるとなんとキャプテンウルトラの甥っ子さんだそうで。
この映画もともとは郭富城アーロン・コックと金城武主演で
悪役に何と梁朝偉トニー・レオンを予定、その頃は催眠術の要素は全く無く、
東京ロケも予定されていたという、って全く別の映画じゃん。
それが流れてどういうわけかつくられたのが『東京攻略』となったそうで。
さすがは香港映画界というところでしょうか。

張藝謀チャン・イーモウ監督『LOVERS 十面埋伏』

LOVERSはあくまで邦題で、英題は『HOUSE OF FLYING DAGGERS』
原題と合わせても危険や活劇、権謀術数うずまく驚く展開を意味してるわけで、
日本で配給会社が勝手に変な邦題つけんなよ、と思いつつ
それで観客動員数はいいみたいだからいいのかと思い直してみたり。
で実際見てみると。なんと、邦題であってる内容ではないですかー。
とにかく魅力的な章子怡チャン・ツィイー、
金城武はちょっと弱いかなーと思いつつも弓射るとレゴラスみたいだし、
劉徳華アンディ・ラウは前半割食ってる感ですが、ラストの壮絶な表情は素晴らしい。
章子怡チャン・ツィイーの踊りも含めてアクションもいい出来で、
数回にわけて襲ってくる官軍がそれぞれ工夫を凝らして、
しかも集団戦の戦術を見せてくれるのがいい。
ただあまりに無個性な集団になってるので、それぞれの頭目に
呉鎮宇フランシス・ン・ジャンユーとか曾志偉エリック・ツァンとか
黄秋生アンソニー・ウォンとかいてくれたらもっとすごい…………
それじゃただの香港活劇か。そういうバージョンも見たいけど。
で、まあ話が進むとちゃんと3人に的を絞った話になっていき、
前作『HEROー英雄ー』では5人だった話が更に絞ってきたのかー、
さすが腕があるなーなんて思ってたら、あれれ?ちょと絞りすぎ?
いや、絞ったところはいいんだけど、大きいところとのバランスがとれてないというか、
意味不明のところ(しかも根本の部分)が出てきたまま終わり。
しかし、疑問がある意味氷解したのはラストのクレジットのトップに出てきた
『アニタ・ムイに捧ぐ』の追悼。
梅艶芳アニタ・ムイがもし出演できていたら、
ラストの方のバランスが大きく変わっていたのは間違いなく、
いくつかの謎も解けたうえにスケールも上がってたことでしょう。
しかし、そこが描けないから、ないままにしてしまったというのも
決して間違った選択とは言えないどころか、
バランスを欠いてること自体が追悼となってるという、
その決断は大きく支持したいと思います。
でもどんな映画になってたのか、いろいろ想像は膨らむばかり。

アルフォンソ・キュアロン監督『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』

今回は原作を読まないで見に行きました。
悪い意味でなくとても良く出来たお子様ランチだった前作までから
ハリーのキャラクターがだんだん深みをましていくのがいい一本。
ある意味地味になってる気もしなくはないですが。
さすがに三作目ともなると冒頭の魔法でない社会の部分はいらんのでは、
とおもったら、これはこれで、ゲイリー・オールドマン演ずる
シリウス・ブラックとハリーの会話のところには必要だったのね。
これで狼男の造形がもっとかっこよければなあ。

サム・ライミ監督『スパイダーマン2』

面白い。よくできてる。
ドラマ的にも演出的にも突っ込みどころがほとんどない。
(科学的にどうかと思うところはあるけど、
それいっちゃうともともと主人公の存在自体怪しくなるので)
傑作とか言うよりもすでに名作の域に達してる感もあり。
というわけでなんといいましょうか、
なだ万とか吉兆とかの会席料理が10000円くらいの
幕の内弁当になった感じでしょうか。
食べたことないけど。
でもなんつーかスーパーヒーローものはどっかで
ジャンクフードな感じがして欲しい気もするわけですよね。
お弁当だったら650円のかしわ飯が好きだしなあ。
これでMJが別の女優さんだったらまた評価値が違うかもだけど、
片岡千恵蔵や黄秋生アンソニー・ウォンにも似てる
Dr.オクトパスの人の演技がよかったのでこれは帳消し。

キム・ジウン監督『箪笥』

すっかり忘れてたんだけど、この監督は韓国・タイ・香港合作オムニバス
『THREE 臨死』の韓国編のひとだったんですね。
というわけでおおまかな感想はその時と同じ。
昨今の韓国ブームの要因の一つは日本だったら「今更…」と躊躇してしまう
もしくはやらないネタ、展開を真っ正面から取り上げていく事のよさでも
あるんじゃないかと思います。書物で言えばハーレクインロマンスが
いつまでも売れるのとおなじように、それは特にメロドラマ系では有効な方法。
ある意味ではアクションものもそういう側面があり、安心して泣いたり興奮したりしたいわけで。
ところが、ある種のミステリーやホラーはそれだけじゃダメな部分があって、
どうも今までのところそこがうまく行った韓国ホラーには当たってません。
先例を意識しながらどうさらに驚かすかというところに工夫が無いと、
たとえ画面がよくて斬新なカットがあっても白けてしまうところがあり、
たとえそこにホラー(いかにして人を怖がらせるか)
以外のメッセージがあろうとも免罪符にはなりません。
先例に倣いましたーというところが面白いホラーもあることはあるんで、
(多分『マーダーライドショー』なんかそうなんだろな)
むつかしいところっすけどねー。

吉田秋生鈴木浩介佐々木浩久三宅隆太、豊島圭介、雨宮慶太、平野俊一監督『怪談 新耳袋』劇場板

おなじみ実話怪談の『新耳袋』。
TV版より長めに作れるのでじっくりしてて、当たり外れや好き嫌いはあるものの、
『箪笥』に比べるとホラーとしては総じて安心してみられる出来。
途中数本普通の都市伝説の映像化にしか見えないものもあるのでそこが残念だなあ。
正直劇場公開というほどはどうかなと思いつつ向かった劇場は
小さいうえに前方の椅子は小さなテーブルもあって、くつろぎながら見られるところ。
自宅で見るよりも多い人数で、しかも暗くしてみるというのはいい環境ですわ。

ギレルモ・デル・トロ監督『デビルズ・バックボーン』

先週まで公開の映画。幽霊は出てくる、けどホラーかというと。
子供達が多く暮らす施設に一人新入りが来て、
しかしその前に死んだこの影がつきまとう、
というそれではまるで『11月のギムナジウム』ではないですか。
ただし内戦下のスペインで、平原の中にぽつんと立つ孤児院という
まるでマカロニウエスタンのような舞台。
幽霊の出現よりも、戦争によってゆがめられ、
強調されていく人間関係が主体で、
ギリシャ悲劇みたいなドラマでもありますよ。
『城塞 ザ・キープ』とか『デス・フロント』みたいな
戦場ホラーを別にすると戦争下で幽霊がでても
そこに『平和な日常』が無い以上、
ホラーにはならんのだなあと。
スペインは日差しが強い分影も濃い、
陽光のもとのゴシックものでした。
ホラーより感動ドラマとして宣伝したほうが
良かったんじゃないかなあ。
『ミミック』『ブレイド2』のデル・トロ監督は
やっぱ地下とそこの水の使い方がめちゃめちゃ上手いです。

スティーヴン・ソマーズ監督『ヴァン・ヘルシング』

19世紀末ヨーロッパで、それぞれ別の物語の主人公達が一堂に会し…………
というとお気に入りの『リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い』があって、
あちらは英雄達こちらは吸血鬼、狼男、
フランケンシュタインモンスターというとこがまあ違うわけですが、
それはそれで『凸凹フランケンシュタインの巻』をはじめとする先例も多数あり。
中でも好きなのは『ドラキュリアン』(1987)でもあれは舞台が現代で。
『ハムナプトラ』『グリード』などのスティーヴン・ソマーズ監督は
これでもかこれでもかと見せ場を立て続けるのが得意だけど、
CG使いまくりなので香港の吸血鬼退治アクション
『千機變 ツインズ・エフェクト』のほうが生身のアクションで
しかも派手でテンポよくて主役の女の子二人も良くて…………
あ、今作のヒュー・ジャックマンもすきなんですが、
なんかこの話だとウルヴァリン誕生秘話みたいだよねえ。
というわけで、有名モンスターをちゃんとからませたところはいいけど、
この監督には『闇』を描く能力がないので、
ただの明るい系アクション映画になってしまい残念というかまあそんなもんというか。
それにしても人物の感情のからみも描けてないのでラストがなってないのはちょっとねー。
ダメじゃないけどもっとバカかかっこいいかどっちかにして欲しかった映画。
ドラキュラ役がもうちょっと強そうな人だったらまた評価違ったかも

劉偉強アンドリュー・ラウ 麥兆輝アラン・マック監督
『無間道II インファナル・アフェア 無間序曲 』

大ヒット三部作の2作目。前作から10年さかのぼって、潜入捜査官梁朝偉トニー・レオンと警察内潜入マフィア劉徳華アンディ・ラウの若き日余文樂ショーン・ユー陳冠希エディソン・チャンを描く…………
ところが主演はその二人じゃなくてそれぞれの上司・黄秋生アンソニー・ウォン、ボス・曾志偉エリック・ツァン。さらに、潜入捜査官の兄でマフィアのボスに呉鎮宇(フランシス)ン・ジャンユー。この辺りのおじさまたちがものすごい演技で、ほかの4人のボスやその手下、さらにその中にも潜入捜査官が、なんつー割と狭い人間関係のなかで複雑なドラマが繰り広げられます。

先に香港版DVDでみてはいたものの、何しろけっこーややこしーので英語字幕では良くわかってなかったところがあり、劇場で見直してよかったなあと。並の映画の倍以上の話が詰まってんじゃないかと思うくらいで。だから無駄なシーンがなく、どの場面のどの人物も印象深い。でもって、いい人がいない(笑)

はっきりと群像劇なんで、映画としては今作のほうが好きかも。最終作もすでに香港版DVD持ってるけど、来年劇場公開決まってるので、いつみるかなあ。
パンフレットは4人のボスや手下の人たちのキャスト情報がなくてダメ。

激突!! 亜細亜颱風韓流VS.タイ道@東京国際ファンタスティック映画祭2004

ペク・ウナク監督・脚本『TUBE -チューブ-』韓国

韓国版『新幹線大爆破』というか『スピード』というか、
地下鉄ハイジャック犯対刑事のアクションサスペンスパニック物。
もうすぐ一般公開らしいのであんまり詳しいことは書かないけど、
あの手この手を尽くしたサスペンスはなんでこれが日本で作れないかなあという出来。
でも終わり方がこのみじゃないです。て、いうかあれは必然性ないでそ。

パンナー・リットグライ監督『ボーン・トゥ・ファイト(原題)』タイ

『マッハ!!!!』を見逃したままなんで、タイのアクション映画を劇場で見るのはこれがはじめて。
麻薬王を逮捕する刑事二人、この冒頭部のアクションだけでもすごい。
しかしその時先輩刑事をしなせてしまった若手刑事が、
妹に誘われて田舎の村へボランティアへ。
妹はテコンドーの選手で、ほかにもサッカー、ラグビー、体操などの
選手達が小さな村で子供達や村人とおだやかな交流を。
ここんとこがなんとものどかで、村長のどら息子とその一味不良グループと
ちょっといざこざがあったりするくらいで、
このままそいつらと戦うみたいなことになるのかなあ、
と思ったらいきなりテロリストとの群れが村人を殺害、蹂躙、制圧!
彼らの要求は先に逮捕された麻薬王の返還。
さらに核ミサイルをバンコクに向けているのであった!
そこからが本番で、普通のアクション映画なら先の若手刑事が一人で奮戦するところ。
ところがこの映画は一味も二味も違って、
追い込まれた生き残りの村人たちとアスリートたちが
徒手空拳でマシンガン持ったテロリストの群れに立ち向かうんですよ!
柴田錬三郎『我ら九人の戦鬼』山田正紀『火神を盗め』が好きな人には絶対のおすすめ作品。
難点は美人女優がいないことくらい(^^;)

モントン・アラヤンクン監督『ガルーダ』タイ

タイ初の怪獣映画という触れ込みでした。
ガルーダはもちろんタイの伝説の鳥人型の神。
ここでは進化した古代生物と言うことで。

主人公は謎の特殊部隊とその隊長、フランス人とタイ人のハーフの女性古生物学者。
地下鉄工事現場の奥から謎の化石が発見されて…………
と、まあ怪獣映画定番の展開。怪獣というにはガルーダがちょっと小さくて、
身長4メートルくらいしかないのが残念。
デジモンでいうと成熟期程度で、やっぱ完全体ガルダモン
(TVでは約15m)くらいはないとねえ。
と、まあそれはともかくこの主人公の女性科学者がなにかというと
「純粋なタイ人でないものにタイのことはわからない」といわれて、
普通ならなんてわからずやの軍人連中なんだと思うとこなんですが、
実際の言動がわがままで考えなしのことばかり。
おかげで特殊部隊員が何人も命落としたりするわけで、
うざったいことこの上ない。
映画としては『ミミック』に近いだけに違いが良くわかります。
実は特殊部隊の設定がすごく面白そうなものだったので、そちらの方の別のお話が見たいなあ。

チャン・ソヌ監督『リザレクション』韓国

韓国版『マトリックス』とかで、しょぼい現実に生きる青年がゲームに参加、
以下仮想現実世界での話で。始ってから30分くらいの現実が結構退屈。
仮想世界に入ってからもコミカルアクション風味のところが滑ってる感じ。ところが!
このゲームの目的は、その世界にいる『マッチ売りの少女』
(ライター売りだけど)の愛を得ること、なんだけど、
「ライター買ってください」しかセリフを言わないこの少女が、
主人公の行動がきっかけでマシンガン持った殺戮者に変貌するところから
俄然おもしろくなります。
最終的にやや不条理感漂う話になったりするとこも
『マトリックス』よりさらに昔の押井守風でグー。
とりあえず今回見た2本では女性を魅力的に描くことにかけては
韓国映画はアジア一かも。

清水崇監督『稀人』

渋谷ユーロスペースにてロードショウ中『ホラー番長』シリーズの1本。
トークショウも行われて、全米映画興行収入ランキングの第1位を2週連続獲得した
『THE JUON 呪怨(原題:The Grudge)』の監督でもある清水監督まで駆けつけて、
主演の宮下ともみさん、脚本の小中さん、監修の高橋洋さん、と
短い時間ですが内容の来いトークをしてました。

『稀人』そのものはホラーではあるとはいうもののヨーロッパ映画のようなラブストーリイ。
昔のビム・ヴェンダースな感じがするくらいな。
主演の塚本晋也さん自体がヨーロッパっぽい感じが。
人に見えて人外のものである存在を演じる宮下ともみさんはものすごく魅力的ですよ。
低予算ながらこんなところいったいどうやって探してきたのかと思うほどの
地下のロケが素晴らしく、しかも何箇所もいろんな地下が出てきて
地下好きな人にはそれだけで大満足では。

小中和哉監督『ULTRAMAN』

新宿で見たら席数44人という極狭小屋(i_j)、
池袋での公開は金曜日までで、それまでに行くべきだったなあ。

どうも書くことが多いので、あまり整理できないまま書き留めておきますが。

悪い宇宙人(生物)を追っていい宇宙人も地球に到達、
地球人の力を借りて悪を倒すという話の原形自体は、海外のSFにもあり、
ホラーやサスペンスにも分類されるもの。
『ウルトラQ』の一編であったとしてもおかしくはなかったんだ、ということが
(今回登場人物の名前に『万城目』『一平』『百合ちゃん』とあることもあり)
確認。

一線を画すのが「変身」「巨大化」の要素。
だけじゃなくて、科学特捜隊が自衛隊にかわった意味は大きい。

この映画の後だと小林泰三『αΩ』は書かれなかったか、
かなり違ったものになっただろなあ。

『ティガ』がスタート数話は約束をあるものとして始まりながら、
約束事を再確認して行くシリーズとなり、
『ガイア』ではそれを再構築していく物であったことに比べると、
さらにそれを無かったものとしてはじめてる映画。
ある意味仮面ライダー『クウガ』に近い。
「リボーン」とパンフには書いてあるとおり。
「リテイル」(再話)ともいえるかも。

さらに『ダイナ』への思いまで感じるのは
脚本:長谷川圭一、監督:小中和哉であるからでしょう。

別所哲也、裕木奈江てあまり好きじゃない配役も気にならないのは
実はかつてのウルトラマンシリーズでも変身する本人に
あまり個性は必要なかったからなのか、と。
敵役の大澄賢也がじつにいい味。

後半、いかにもウルトラマンな見せ場の辺りになると
突然『約束事』が浮上してきたような気になるとこもあり、
そこだけが惜しいかなあ。

『戒厳令下の様な西新宿での怪獣との激闘』これが実写で見られるとは!

ウルトラマンは『怪獣もの』『ヒーローもの』ではなく
『ウルトラマン』というジャンルであるのでした。

最後の方でちょっとだけ出てくるウルトラマンの声には個人的にビックリ。
でもそうだよなあ。

ブラッド・バード監督『Mr.インクレディブル』

CGとしての出来、アニメーションとしての動きの見事さ、
脚本全体もよければ細かいアイディアもこれでもかという詰め込み具合で、
吹き替え版で見た三浦友和、黒木瞳ほかのキャストも驚くほどぴったりで言うこと無し。
ひそかにブラックな所もグー。
でもあまりに全部が良く出来ているのでかえって何かが足りない気がするのは
『スパイダーマン2』とも通じるところかなあ。
『家族もの』なのはもちろんだけど、『ヒーローもの』じゃなくて
『スーパーヒーローもの』なとこが何かピンと来ないとこなのかも。

北村龍平監督『ゴジラ FINAL WARS』

何しろ北村龍平監督作品は実は1本も見たことが無く、
今回も最初は見に行く気はなし。しかし聞こえてくる評判を聞くにつけ気になりだし、
年明けにでも行くつもりがついつい行ってしまいました。結果は。

面白いじゃん!

最初に劇場に行った『南海の大決闘』から
劇場で観た新作の(名画座での旧作のぞく)
ゴジラ映画の中では一番面白かったのでは。

怪獣映画といえるのは東宝では『ゴジラ』『モスラ』『ラドン』『バラン』くらいで、
後はみんな『怪獣対決映画』だったのだということを突き詰めた1本。
やっぱ映画って見せ物なんだからね。
劇場内でいかに非日常を体験させるかが勝負の分かれ目だとおもうですよ。

ラドンやクモンガやカマキラスやアンギラスが一味違う活躍を見せて、
今までそんなとこがかゆいと思ったことなかったとこなんだけど、
掻かれると実は確かにかゆかったんだと気がつかされて素直に感激したりする反面、
エビラが危うく白兵戦で負けそうになったり、ヘドラの出番がスゲー短かったり、
菊川玲はどうも好きじゃなかったり、キース・エマーソンもなんだかなーで
これならリック・ウェイクマンにして欲しかったなどというところもあるけど、
宝田明のセリフでOKです。

ポール・W・S・アンダーソン監督『エイリアンVSプレデター』

この監督(兼脚本)よっぽど元の『エイリアン』も『プレデター』も好きなんだろなあ。
どちらもイメージ壊すことなく、キャラが立つように作ってて、それは見事。
二つの作品をつなぐための舞台設定が、ああこう来たかと。
全く予備知識無しで見に行ったので、そこは素直に感心。

でも、人間の登場人物が何となくどこかの別の映画のどの登場人物とも交換可能で、
(唯一違うのがランス・ヘンリクセンなんだけど)
全体としては大変うまくまとめましたという感じになってしまったのが惜しいような。

トニー・スコット監督『マイ・ボディーガード』

邦題はこうだけど、何たって
クィネル『燃える男』("MAN on FIRE")の映画化だからねっ。
見に行かねば。主人公クリーシィが黒人てのは驚いたけど、
デンゼル・ワシントンは何もセリフがないところでも
内に秘めたものを感じさせて素晴らしいはまり役。
脇のクリストファー・ウォーケンがまた好演技。
もう一人の主役、子役のダコタ・ファニングがこれ以上もなく愛らしく、
まあそうでなきゃこのお話はそもそも成立しないわけだけど、
映画化が長いことまたされたのは彼女が世に出るのをまってたんじゃないかと思われるほど。

監督の映像スタイルは好きじゃないけど、
原作のイタリアをメキシコに舞台を移したのはいい効果。
あの原作を映画化するに当たってお話を変えたのもそれはそれでOK。
OKなんだけどーラスト3分はもう一工夫できなかったかなー。
ものすごい怒りを内包したクリーシィの復讐劇となる中盤過ぎまでは
すごくいい出来なだけに惜しい。