時々思いついて書く映画の感想

2010

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01/28 スパイク・ジョーンズ監督『かいじゅうたちのいるところ』
01/29 オラントゥンデ・オスサンミ監督『THE 4TH KIND フォース・カインド』
01/30 ニールス・アルデン・オプレヴ監督『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』
01/31 トニー・ジャー監督『マッハ!弐』
02/03 ピーター・コーンウェル監督『エクトプラズム 怨霊の棲む家』
02/19 テリー・ギリアム監督『Dr.パルナサスの鏡』
02/20 ピーター・ジャクソン監督『ラブリー・ボーン』
03/25
03/26
04/08 パク・チャヌク朴贊旭監督『渇き』
04/09 フィリップ・シュテルツェル監督『アイガー北壁』
05/11 ニール・ブロムカンプ監督『第9地区』
05/12 マーティン・スコセッシ監督『シャッターアイランド』
05/13 林超賢ダンテ・ラム 導演『神槍手 スナイパー』
05/14 ティム・バートン監督『アリス・イン・ワンダーランド』
05/15 ルイ・レテリエ監督『タイタンの戦い』

05/24

鈴木則文特集『忍びの卍』1968 『徳川セックス禁止令 色情大名』1972

05/31 ラピュタアニメーションフェスティバル2010
06/03 杜[王其]峰ジョニー・トー導演 『復仇 VENGEANCE 冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』
06/16 周顯揚ロイ・チョウ導演『殺人犯』
06/17 中島哲也監督『告白』
06/25 ジョン・ファヴロー監督『アイアンマン2』
08/01 リー・アンクリッチ監督『トイ・ストーリー3』
08/02 高橋洋監督『恐怖』
08/03 トーマス・アルフレッドソン監督『ぼくのエリ 200歳の少女』
08/04

平山秀幸監督『必死剣 鳥刺し』

08/05 ニムロッド・アーントル監督『プレデターズ』
08/06 M.ナイト・シャマラン監督『エアベンダー』
08/07 クリストファー・ノーラン監督『インセプション』
09/09 落合正幸監督『劇場版怪談レストラン』
09/10 クリス・サンダース 、ディーン・デュボア監督『ヒックとドラゴン』

09/11

坂本浩一監督『仮面ライダーW  FOREVER AtoZ 運命のガイアメモリ』
09/16 ハラルド・ズワルト監督『ベスト・キッド』
09/17 ジョー・カーナハン監督『特攻野郎Aチーム』
09/18 グラント・ヘスロヴ監督『ヤギと男と男と壁と』
09/19 劉鎭偉 ジェフ・ラウ導演『出水芙蓉 水も滴るお姫様』
09/29 ダニエル・アルフレッドソン監督『ミレニアム2 火と戯れる女』
               『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』
10/20 三池崇史監督>『十三人の刺客』
10/21

クリスチャン・アルバート監督『パンドラム』

10/22 ファン・ホセ・ カンパネラ監督『瞳の奥の秘密』
10/24 胡玫監督『孔子』@東京中国映画週間
10/25 陳徳森テディ・チャン導演『十月圍城 ボディガード&アサシンズ』@東京中国映画週間
10/30 葉偉信ウィルソン・イップ導演『葉問 イップ・マン序章』@東京国際映画祭
11/25 鈴木卓爾監督『ゲゲゲの女房』
11/29 林超賢ダンテ・ラム導演 『綫人 密告者  The Stool Pigeon』
12/04 丁晟ディン・シェン導演『大兵小将ラスト・ソルジャー』
12/07 山崎貴監督『SPACE BATTLESHIP ヤマト』
12/30 鈕承澤ニウ・チェンザー監督『モンガに散る』

 

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スパイク・ジョーンズ監督『かいじゅうたちのいるところ』


子どもが空想の世界に行き、
現実を折り合いをつける準備ができてまた帰っていく。
だから、その世界にいる「かいじゅう」たちに
普通の意味のリアリティはいらないないけど、
その子どもと同じ空間にいる質感は絶対に必要。
着ぐるみというのはまさにドンピシャな選択で、
表情だけCGでやってるにしてもまさにそこにいる感じは
他でありようがないでしょう。
ちょっとジョディ・フォスターと シガニー・ウィーバーに
似てなくもない主人公の少年も良かったし、
なにより音楽、
アコースティックに女性のハミングが軽やかで優しくもあるものがスゴクいい。
この映画だからこういう曲という。
かいじゅうたちと子どもが別れたちせず、
ずーっと遊んだり冒険したりするのを見ていたいような気もしたが、
もともとが心の葛藤の表れとして存在するかいじゅうたちには無理か。
というかそんなのは自分で作ったような気もするわけでしたわ。

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オラントゥンデ・オスサンミ監督『THE 4TH KIND フォース・カインド』


実際の記録映像(と称するもの)と
再現映像を交互にあるいは並列してみせるというのは、
超常現象にリアリティを与え、
感情移入も容易にするというなかなかいいアイディアのように思えたのも
途中まで。
再現の方の主演者が真に迫れば迫るほど記録映像で途切れたときに
「あ、これ再現だし」と思い起こされ、
また再現なのにこのリアリティ、
と思うと記録という方もどんなにリアルに見えても
記録を装った再現にしか見えなくなるという諸刃の剣でした。
ここからややネタバレになるので、読みたい人だけ文章を選択してください。
オカルトものかと思えば宇宙人ネタかよなんていう人はここ読んでないよね。
タイトルからして宇宙人ネタ、と思って見に行ってた立場からすると、
あれー、宇宙人ネタとはいい切れないのかー、
かと言って異常心理物というつもりもなくて、
「みんなが宇宙人といってるものは実はなんだか得体のしれないものだよね」
ということを言おうとしてる映画のようでもあり、
というか起きてることとしてはそうなんだけど
うまく咀嚼してないあるいはあえて解釈してないままと言う扱い。
作り手が真面目すぎんのかもねー。
もっとめちゃくちゃな作りだったら良かったのに。

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ニールス・アルデン・オプレヴ監督『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』


『このミス』でベスト1になった原作3部作1巻目の映画化。
キャラクター、ストーリー、演出どれもグー!
横からの光源だけだと平気で顔半分真っ暗にしちゃう撮影も雰囲気あげてます。
こんな面白いのに都内で3館しか上映してないってどーゆーこと、勿体無い。
エンディングのあとに2本目の予告編も付いてて、
あとこのレベルの映画が2本も見られるというのがいいとこであり、
それで終わっちゃうんだというのが残念なとこ。

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トニー・ジャー監督『マッハ!弐』


トニー・ジャーのアクションだけ見れば相変わらずすごいし、
ムエタイだけじゃなく中国拳法、日本剣術、
さらに良く分からないアフリカ武術みたいのまで出てきて
そーゆーのは楽しいんだけど。
舞台を15世紀にしたのも別に悪くはなかったはず、
でもねえこのくらいの話なら中華武侠TVドラマシリーズなら
全26話のうち最初の15分くらいで終わっちゃいそう。
しかもありがちな話。おまけにラストがねえ。
いろいろ爽快感がないまま放り出されちゃって、残念な出来。

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ピーター・コーンウェル監督『エクトプラズム 怨霊の棲む家』


ええとね、いい話なんですよ。感動的な実話。
でもじゃあ前半の怖がらせ演出(それ自体は結構ちゃんとしてます)
とのギャップがなんか気になりまして。

 

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テリー・ギリアム監督『Dr.パルナサスの鏡』

あらゆる場面がまさに映画でしか描きえない、
もしくは映画だからこそよりよく表現できる名場面ばかり。
日常の些細なことを貧乏くさい絵づらで自己憐憫ばっかの映画なんか滅びてしまえばいいね。
見終わってあとから思い返すと主演の一人であるヒース・レジャーの死後、
代役をジョニデら3人が演じた幻想世界よりも、ヒースがいる現実世界の方が幻想の世界のように思えてくる。

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ピーター・ジャクソン監督『ラブリー・ボーン』

ホラーとかサスペンスとかファンタジーとかジャンルなものと期待してると
肩透かしの人達もいるようで。
その部分だけ取ればまたそれが実にうまい映像的描き方をしてるけど、
「被害者の遺族はいかにしたら心の平安を得られるようになるか」の話なので、
枠組みに囚われてると見失ってしまうものが多いですよ。
極めて現実に近いものを想定してるので、
原作よりは甘めにしたという部分は確かに浮いてる気もするけど、
だから得られる人気というのもあるのは仕方ないかな。
劇場前に張り出してあった「この春一番の女性映画」的なチラシは
全くどこをとってそういうのかわからん。

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ヘンリー・セリック監督『コララインとボタンの魔女 3D』

 

造形もアニメートも素晴らしく、
人形アニメってこんなに3Dと相性いいてのは羨ましいくらいだけど、
もーちょっとダークなもの期待してたのでそこは割と普通向けだったかもー。
吹替版で、主演はまあ悪くはないくらいだけど劇団ひとりが意外と良かったです。

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ガイ・リッチー監督『シャーロック・ホームズ』

今までにないホームズとワトソン像、
といってももともと原作読んだ時点で割とこんな感じしてたし、
推理ものというより冒険ものの色合いも濃い話もあるわけで
違和感ないというか。
もっとバカ映画ではと思ってたのに意外と普通に楽しめる映画でした。
悪役はもっと強く悪くてよさそうな気もするけど続編のモリアーティ用にとってあるのかな。

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パク・チャヌク朴贊旭監督『渇き』

ソン・ガンホ宋康昊が敬虔なカソリック神父で、
ひとのために人体実験材料となったら吸血鬼になってしまい……
という設定はかなり前から伝わってきてたのが、
今頃しかもこんなタイトルで公開してたんですね。
なにしろ『グエムル』でダメおやじ『殺人の追憶』で田舎の粗暴な刑事
『グッドバッドウィアード風塵三侠決戰地獄門』でイカれたやつのあのソン・ガンホですよ。
その後人妻との愛の物語、ったってただじゃ済まないんだろなー
と思ったらそれどころじゃなくてなんつーか生臭いというか
これほどロマンチックから外れた吸血鬼モノってのもなかなかないんじゃないでしょうか。
ちょっと長いけどとりあえず見てよかった。

 

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フィリップ・シュテルツェル監督『アイガー北壁』

1930年代ナチが台頭してきた頃に難攻不落の山に挑む男たち。
国威高揚の思惑も絡んだ背景とはいえ挑むのはあくまで彼ら自身の
『登りたい』気持ちのため。
主人公二人組の幼馴染の女性記者(見習い)が意外と話の肝になってきたりはするものの
基本は男対山、圧倒的な自然、それをまた大げさな見世物にせず
真っ向から取り組んだ骨太すぎる一本。
山岳映画でこれを超えるのは難しいのでは。

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ニール・ブロムカンプ監督『第9地区』

前半のフェイクドキュメント部分も後半のアクションも全体の設定、
デザインも良くできてるんだけど、何となくのれなかった映画。
なんでかねえ−。
後半がもっと思い切りバカでギャップがあると好みだったかもだけど、
それじゃこんなにヒットしないか。

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マーティン・スコセッシ監督『シャッターアイランド』

がっかりするだろなーと思いつつ、どれほどか確認するために行ったような。
期待に違わぬがっかり具合で。
観客が予想した範囲以内でしか物事が起きず、
え、どうなるの?といったとこが無いとこが主要因ではないかと。

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林超賢ダンテ・ラム 導演『神槍手 スナイパー』

『放・逐 エグザイル 絆』でも銃撃の名手だった任賢齊リッチー・レン隊長の
警察特別機動部隊に新入隊員陳冠希エディソン・チャン、
これがその後例の流出事件のおかげで映画はほぼお蔵入り、
本国ではDVD公開のみらしく日本でもやっと公開、と。
いやしかし面白いんですよこれ。
短銃じゃなくて狙撃銃での撃ちあいってそれだけでもなかなかないよね。
もちろんテンポも良くあきさせない作り。銃に詳しい人ならもっと楽しめるはず。
元隊員で隊長以上の狙撃手黄暁明ホアン・シアオミンがなぜ敵になるのかも納得行く話で、
隊員役の人たち訓練中はタンクトップ姿に成るんだけど鍛えてるのが良くわかります。
林保怡ラム・ボーイー、高捷ジャック・カオ、
そして廖啓智リウ・カイチといった脇どころの活躍も嬉しい。
話もそう締めるかという展開で、なかなか良かったけど、ラストシーンだけちょっと弱いかなー。

 

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ティム・バートン監督『アリス・イン・ワンダーランド』

どーもこの監督とはあまり相性が良くなくて、
劇場まで行かないことの方が多いのだけど
今回は何しろアリスだからと行ってみましたが。
やっぱ合わなかったみたい。
そもそもアメリカ人の作るアリスってのがどーも違うような気もする。
『オズ』をリメイクしたらがこうなったと言うのならそれでも良かったんだけど。

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ルイ・レテリエ監督『タイタンの戦い』

のっけから最後の方までこれでもかとケレンの連続、いやこりゃ楽しいわ。

黒煙と火花のハデス、『エクスカリバー』以上に鎧が光り輝くオリンポス12神、
すげええ動きの対サソリ戦、貞子かと思うようなメデューサ、
カロンの渡し船もなるほどなデザイン。

人間側の戦士たちも結構渋く、砂漠のジンとサソリの使い方には驚かされ、
ラオウの黒王号みたいな黒馬のペガサスがそれだけでもかっこいいのに
クライマックスで巨大なクラーケンのうごめく何本もの足の間をとびわまるところは
もはや『わんぱく王子』のアメノハヤコマ!

オリジナルがいくら偉大なるハリーハウゼンの引退作とはいえ、
映画としては結構だらけた出来だったのが
今作は非常にいい活劇となっていたのでは。

前作に敬意を払ってるのはメカふくろうのボーボーが
ちゃんとハリーハウゼンのとこから借りてきて
話に全く関係ないけど出したくてやったということだけでもまるでオッケー。

全体としてそれはどうよとか最後の倒し方なんとかならんのかとか
突っ込みたいところもなくはないけど
そこは元の神話がそうだから、みたいなところもあるし。

丸坊主のペルセウスとか、美女群とかハデスも、もうちょっと
他の人でもいいような気もするけどまあそれもいいや。

前に見た『アリス』が白と赤の女王の姉妹喧嘩の代理戦争を主人公が、
というのが今作もゼウスとハデスの兄弟喧嘩をペルセウスが
という話ではあったけど、バカに徹してて全然こっちの方が好みでした。
この調子なら『アルゴ探検隊』『シンドバッド』などのリメイクも見てーっす。
あ、『パーシー・ジャクソンと〜』も観てみようかな。公開順変えればよかったのに。

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鈴木則文特集『忍びの卍』1968
『徳川セックス禁止令 色情大名』1972
@新文芸坐


山田風太郎原作『忍びの卍』は長い間見られることがなく、ニュープリントだそうで。
日替わり上映の上、
この日は鈴木監督+柳下毅一郎、佐々木浩久監督のトークショーというので見に行ってきました。
これがもう立ち見が出るほどの大盛況。

鈴木監督はジャンルの幅が広いたいへん優れた職人監督で、
こういう人がちゃんと評価されるのはとてもいいことですわ。

映画の方、『忍びの卍』は期待していたせいかちょっと。
主人公の若い侍に忍者がわずか3人、風太郎忍法帳では異色に数が少なく、
それが手を変え品を変えねじれていくストーリーが魅力なのに
敵の首領に女忍者を配して主人公との恋ものにしちゃったところが好みに合いませんでした。
主人公椎ノ集刀馬に夏八木勲 、
忍者に虫籠右陣/遠藤辰雄 、筏織右衛門/山本麟一
といたところはいい配役だったけどなあ。
原作では白面の美形、百々銭十郎に潮健児 というのもまあこれはこれで面白くて。
でも最後はどっかいっちゃったまま出てこないんだもの。

 

もう一本の『徳川セックス禁止令』これは面白かった。
基本の話はかなりバカバカしいものなのに、反体制や悲恋、悲痛もあり、
配役もこういう役はこの人とぴったりはまりもちろんR18としての見せ場もたくさん。
笑いも泣きもできて、なおかつ大スクリーンで見るちゃんとした時代劇。
東映時代劇としてはかなり末期にあたると思うのだけど、底力あったんだなあ。

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ラピュタアニメーションフェスティバル2010


もう10回目になるんですねえ。
今回は二つのプログラムに行きました。

『エストニア最新作品集』と『ジョルジュ・シュヴィツゲベル作品集』
エストニアの方はあまりピンとこなかったのだけど、
シュヴィツゲベルの『78回転』とか『技』は好きなんですよ。
まとめてみると、どうしてああもややこしいことに作りこんだものになっていったのか、
変遷がわかってよかったですねえ。

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杜[王其]峰ジョニー・トー導演
『復仇 VENGEANCE 冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』


『鎗火 ザ・ミッション/非情の掟』『放・逐 エグザイル 絆』の路線、第3弾。

記憶をなくしつつあるフランス人が依頼人の、殺し屋達による復讐劇、
ということでいつもに比べるとシンプルな筋立てと言うか、
3人の殺し屋はおなじみ黄秋生アンソニー・ウォン、林雪ラム・シュー
そして最近出番の多い林家棟ラム・カートン。


三者三様にすげえかっこいいのは当然として、
林家棟あんな身のこなしできるんだってのも驚き。


三人のボスが任達華サイモン・ヤムなんで、
まあ予想通り話はそっちとの対決の方にも。


あらゆる場面が良くできてるのも当然としてそこから先、
今回はどういう大人のおとぎ話に持っていくのかとおもうと、
なるほどねえ〜〜。健在だなあ 。

ゲスト主役のフランス人ジョニー・アリディも渋くかっこよかったです。
杜[王其]峰ジョニー・トーの中では最高傑作、ではないかもしれないけど、
普通のノワール映画としては屈指の出来。一般向けはいいはず。
えーと、ということはあまり全力でやらない方が一般的に傑作になるのか、
なんてねー。


一応三部作の完結、とか言ってるけど、
スケジュールの都合で出られなかった呉鎮宇ン・ジャンユーと
張耀揚ロイ・チョンがそれじゃあ済まさないでしょうが。
いつでもいいのでこの路線次回作まちますよ。

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周顯揚ロイ・チョウ導演『殺人犯』

ポスターにもなってたパンフの画像があまりに怖い顔なので
いつもより小さめにしてあります。
この怖いのがいつもはストレートすぎるほどのあの二枚目
郭富城アーロン・コックだなんて。

異常連続殺人。現場でほぼ無傷だった刑事。記憶がない。
いろんな証拠がすべて自分を指している。
犯人は果たして自分なのかそれとも。

冒頭いきなりショッキングな映像から始まり、
その割にはこの話、設定でどこまで持っていけるのか
なんて甘く見てたら大間違い。


度肝を抜く展開が待ってました。


真相が明かされる場面では、
ああまた変な悪夢の場面でも始まったか、
と思ったくらい。


イヤそうじゃない、
これが真相、とわかってきてからは
開いた口もふさがらない、目も見開いたまま。


そこからの展開がこの手の物としては長めだし、
いろいろ無理が有るような気もしなくはないけど、
そのわざと長めに持ってってるとこがまた嫌な感じ。


郭富城アーロン・コックのイカれた百面相演技もすごい。
ここまでやるか。


かなり嫌〜〜〜な気分になれる映画なので万人におすすめはしないけど、
ここ数年であるいはもっと長い間で一番驚かされた映画でした。


もうこれ以上は何書いてもネタバレになるので、ここまで。
公開館が少ないけど見に行ってよかったなあ。

今回公開してるのはたぶん香港版、
中国本土の大陸版ではかなり差し替えられて
ほとんど別の映画になってるらしい、
それもムリはない気もする。
で、そっちも見てみたいんですねけどねえ。
なにがどうかわったんだろ。

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中島哲也監督『告白』

とってもフィクションで、ムリのおあるとこも多い作り事。
でもそうばかりいってられないリアリティ。
そういう嘘の中のリアルを際だたせるための過剰な演出。
いつものこの監督作に比べれば押さえ気味ではありますが。
この映画がヒットしてるのは題材のセンセーショナルさではなく、
提起された問題に対する共感の部分が大きいんではないでしょうか。

原作を先か映画を先かと言うのはこの手の物を見るときいつも問題なんだけど、
今回は原作を先に読んでから見ました。
媒体が違うので、文面を音声に変えたり、時系列を整理したり
と言うのが上手く機能してたなあ。
そして音楽の使い方がうまい。
ある種別物として構成しなおすことで原作に近く思えるような作り方。
原作読まないままで見た自分がいたら、どう思ったかも聞いてみたい。

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ジョン・ファヴロー監督『アイアンマン2』

まーいろいろ期待通りの2作目。
ミッキー・ロークのウィップラッシュはどっか
『スパイダーマン2』のドック・オクぽい感じもありますね。
あっちと違うのはグウィネス・パルトローにくわえてスカーレット・ヨハンソンと
きれいどころが揃ってることで、
この二人他の映画の時より綺麗じゃないかと思うくらいだけど
よく考えたらちゃんと他の映画見てないかもね。
主人公をサポートする軍人役がドン・チーゲルになって
ちょっと弱い感じだけど
まあ途中からスーツ着てウォーマシンになるから誰でも気にならない。
いろいろ設定を説明しなくてすむのが続編の利点だけど、
前作はなぜこういうキャラクター、というかメカが生まれたか、
がひとつ見せ場になってたのに比べると
今回の前半はちょっとまどろこしい感じもするくらい。
その分は後半のやりたい放題のアクションシーンでちゃんととりかえしてて、
いうことなし。

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リー・アンクリッチ監督『トイ・ストーリー3』

続編であり完結編。
別離、再会、成長、信頼、裏切り、まあとにかくいろんなものが無理なく詰め込まれ
笑いも感動もできハラハラもし意外性もあり暗喩とか風刺も効いてるし。
IMAX3Dで見たけれどその立体感もごく自然なもので。
もうとにかくいうと事なしのできなんだけど、
そうであるほどどっか何かごまかされてるか、
だまされてるような気もしてしまったのはなんでかなあ。
ひとつには後日TV放映で見直した2のラストでにぎやかにいた仲間が
ちょっと減ってること、一応3でも少し触れられてはいるけども
すっととおりすぎてしまう、
そういう点が幾つかあるんじゃないかと。

吹き替えか字幕かという問題、この作品に限っては
安定した配役でちゃんと見られる吹き替え版がいい感じと思うんですが、
あとでパンフレット見ると今回の悪役ロッツォ元の声は
ネッド・ビーティでそれはそれで聞きたかったかも。

併映短編『Day And Night』
これが3DCGと手書きを実にうまく組み合わせ、
しかも3D上映だとその効果を最大限に利用して、
基本はワンアイディアなんだけどそれを
画面効果、キャラクター、ストーリー全てにうまく行き渡らせるという
よくできた短編の見本みたいな出来。
なんとネット上でも見られます。
こちら
ま、立体視はできないんですけどね。

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高橋洋監督『恐怖』

ポスター怖いんですが、女優中村ゆりさん本編では綺麗でした。
主人公はその妹藤井美菜さんで、その母が片平なぎさ。
人の脳のある部位に電気刺激を与えることで
この世ならぬ光景を見させようという
今時見ることの余り無い正当なマッドサイエンティスト。
ほぼ無表情なところにやや低めのでありながら
妙に鋭い声で話すとこがものすごいはまり方。
これほど恐怖映画にふさわしい女優さんだったなんて。
この配役だけでも狙いは成功したと言えるのではと思うほど。

色々なぞめいた出来事や事件が起こる前半もその不気味さはかなりいい感じですが。
後半から終盤の他で見られない成り行きが大変盛り上がりました。
もっと狂った感じの映画と思うとそうでもないかなり理性的な作り。
もうちょっと予算かけられたらという気がしないでもないけど
そう言うのも似合わないのかな。

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トーマス・アルフレッドソン監督『ぼくのエリ 200歳の少女』

北欧スエーデン。
夜長く寒い街の内気でいじめられってこの少年。
そのアパートの隣の部屋に引っ越してきた中年の男性と、夜にしか姿を見ない少女。
その子は実は吸血鬼だった。

この冒頭の設定から予想する話、ほとんどはその想像通りに進みます。
切ないとこも悲しいとこも怖いことも闇の部分も。
吸血鬼の生態としてはなんともトラディショナル。
今時そこまで伝統にとらわれなくても、と思わなくもないけど、
ブレジネフが書記長だったという時代背景で
近すぎずと過ぎない過去という絶妙なところにはまってます。
前評判で吸血鬼版『禁じられた遊び』とか『小さな恋のメロディ』とか
『ミツバチのささやき』とか北欧の『ポーの一族』とか色々言われてて、
そこまでのもんかよと思いつつ見に行ったらまさにそのとおり、あるいはそれ以上でした。
降参。

あとちょっとでありがちな話になりそうなのをうまく持ってく語り口の精妙さ、大胆さ。
『ミレニアム』でも思ったけど影の暗さをうまく撮す撮影。
そのすべてが映画的に機能してます。

ラストシーンについてホラー好きでない人はハッピーエンドと思い
ホラー好きな人はその先の破滅を思い描いてしまうようだけど、
それでもなおかついい終わりと思うけどなー。

ハマープロによるリメイクもほぼ完了してるようで、それも楽しみというか。
もう一回書いとくけど、絶賛します。

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平山秀幸監督『必死剣 鳥刺し』

原作が藤沢周平なので地味なのは当然、
短編を映画化だからそれほどスジが複雑なわけでもなく、
それでも冒頭はえっという場面で始まり
その後もうまく興味を引く展開を
かなりちゃんとした時代劇にこだわった所作、撮り方、舞台などで見せてくれて
時代劇らしさを満喫できます。
主演のトヨエツも何かありそうな岸部一徳とかの配役もハマり過ぎなくらいで。
『仮面ライダーW』劇場版でカッコいい初代所長やってた
吉川晃司の剣豪とトヨエツの対決もすごい。

その後の大立ち回りがなんか惜しいなあ。なんとなく段取りがぬるく見えてしまって。
対吉川晃司戦で終わってたら傑作とも思えたけど、
そうすると『必死剣』の使いどころがなくなるわけでそうはイカンか。

題名の時点で主人公の末路は知れてるのでそこをどう納得させるか
というところはまあうまくいってるんですが、
途中彼を慕う池脇千鶴とのやりとり、重要とはわかってるけど
ちょっと長く感じられたかな。

『鳥刺し』って結局どういう技なんだっけ、
読んだのにさっぱり憶えてないので原作探そうと思うものの
うちのどのへんにあるのか不明でまあそのうち。

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ニムロッド・アーントル監督『プレデターズ』

傭兵や軍人、スナイパーなどプロの戦闘屋たちが
ある惑星に連れ去られ、プレデターの狩りの獲物に。
いかに勝ち、生き残るか。
余計な人間ドラマみたいのをそぎ落としてるんで
かったるいぬるい展開の場面がなく、清々しいですよ。
各エキスパートはそれぞれ見せ場みたいのがあるし。
とは言っても銃器持ってる連中はそっちに詳しい人じゃないと
いまいち個性付けが不明確かも。
メスだけが頼りの医者とか、
日本刀を手にする日本人ヤクザとかは期待通りの場面があって大喜び。
あとはまあラストの作り方かなあ。
もっと予想外なとこまで行って欲しかったなあ。

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M.ナイト・シャマラン監督『エアベンダー』

地水火風の4種の気を操る人たちの戦いという
極めて東洋的な架空世界のはずなのに白人ばかり、
インド出身の監督がこういうふうに撮るのも何つーか、
でもまあそれは別に気にならない。
それぞれの技の見せ方はかなりアイディアに富んでて、火の軍船などのデザインもグー。
しかしねー、ほとんどすべての場面でなんでその人はそうするの、
ぼーっと見てるだけなのこうやればいいということをさっさとやらないの、
などの基本的行動に疑問符がつきまとう展開。
登場人物がみんなちょっとずつバカというのが致命的。

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クリストファー・ノーラン監督『インセプション』

多重構造の夢=人の意識内世界でのミッションインポシブル。
トーキョーだのパリだの世界各地で
現実がちょっとずつねじまがった幻想を見せる前半はすごい。
ミッションに集められるチームのそれぞれエキスパートぶりもいい。
終盤、話が主人公の亡き妻とのメロドラマに話の焦点が移ってくあたりで
興味が外れちゃって。
夢の多重の各層でそれぞれの危機を解決する行動が
同時進行クライマックスになってるはずなんだけど、
前半あれだけ大仕掛な事やってた部分がなりを潜めて
極めて現実臭いアクションになっちゃうのが残念。
終りの方で馬鹿な大仕掛とか見たかったなあ。

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落合正幸監督『劇場版怪談レストラン』

冒頭10分ほどアニメパートがついて、あとは実写という形式。
同じ町の小学校がアニメで、実写部分は中学校。
アニメと実写が同じ空間内にあるという設定の作品はそう多くないのでは。
この夏のテレビの方では『文豪怪談』の一話『片腕/川端康成』を担当した落合監督が
子供向け映画としてまるで別人のような演出をしてました。
アニメパートの演出・佐藤くんは普段はワンピースを担当していて、
出来はいいものだったけどなんでTV版の『怪談レストラン』のスタッフにやらせないのかという疑問はありますわなあ。

 

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クリス・サンダース 、ディーン・デュボア監督『ヒックとドラゴン』

予告で見た限りではなんだあ、いかにも子供向けの甘い映画
とおもってたのが、
公開後の見た人の声を聞くとどうやらなにか違うらしいなと。
あっという間に公開縮小され朝一回だけ
なんてなったところで行ってみました。
そしたらあーた。

最初10分くらい、舞台とキャラクターの紹介部分は
割と思ったような。
そこを過ぎて肝心の主人公とドラゴンが出会うあたりから
おやこれうまいと思い始め、
中盤の飛行シーンでおお!と身を乗り出し、
しかしそこまでは予告でわかるストーリー内。
終盤思いもよらぬ怒涛のアクション、大怪獣バトル!
予告にあったような泣ける映画なんかじゃあなく、
ものすごい燃え映画でしたよこれが!
3Dで見てよかったあ。
怪獣バトルものが好きなあなた、今からでも間に合うならぜひとおすすめ。

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坂本浩一監督『仮面ライダーW  FOREVER AtoZ 運命のガイアメモリ』

いわゆるゴーストセイントというか
自分たちと同じ種類のメモリを使った敵と戦うという趣向は
劇場版というよりは何かスペシャルぽい感じもしないでもないけれど、
飽きさせないテンポで見せていくとこはさすが。
でも一番の見所はラスト前、危機に陥ったライダーに向けて風都市民の祈り、
これがウルトラならば光の力となるところがライダーなんで風。
はじめは小さくだんだん強くなっていく風の力にのせてかけられる主題歌。
これは盛り上がらないわけには行かないでしょう。
前後してみたテレビ版の最終回、
まさか松田優作の『探偵物語』最終回のそこまでリスペクトしてるとは。
あわせて見返したいもんですね。

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ハラルド・ズワルト監督『ベスト・キッド』

引越し先でのいじめ。
異文化の戸惑いと知っていく楽しみ。
父を亡くした子と妻子を亡くした男の擬似親子。
悪のカンフー道場と本当のカンフー。
異人種間の幼い恋。

どれひとつでも映画になりそうな要素がてんこ盛りで、
しかも無理なく入ってるこの絶妙な設定。
北京のしょぼくれたアパートの管理人でしかないと思われてたジャッキー・チェンが
主人公の少年にカンフーを教えることになるまでの自然な流れ。
その後の単調でしかないと思われた練習がちゃんと意味を持っていた、
とわかるあたりからはもう涙が止まりません、
ってまだ半分くらいしか行ってないんだ確か。
ええもちろん最後の試合の場面は燃え燃え握りこぶしですよ。

出来がいいとは聞いてたけど、実際見る前これほど傑作とは思わなかったなあ。
プロデューサーであるウィル・スミスの息子が この年齢の時に
ジャッキーが丁度良くこういう役ができるようになってた
というのが偶然を通り越して素敵な組み合わせになりすぎ。

吹き替え版で見てジャッキー=石丸博也さんは鉄板。
主人公が矢島晶子さんでもう吹き替えに聞こえないほど自然。
とにかく減らず口が止められない少年というのは下手すると嫌味なやつになりかねないのに、
エピソードの上手さもあってそのおしゃべりが実に可愛くなっていくし。
他も良かったけど、高山みなみさんがこの映画ではほとんど唯一の白人少年役で
しかも中国語も話したりするのに後半殆ど出てこなくなるという贅沢な使い方。

いい場面上げてくとキリがないんですが、カンフーの修行所に行く列車内で
『気』とは何かと問われたジャッキーが
「大地や世界にある力を自分の中に取り入れるんだ」みたいな説明すると
「スターウォーズのフォースだ!おじさんがヨーダでぼくがルークなんだね」
なんと欧米人に分かりやすいことか。

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ジョー・カーナハン監督『特攻野郎Aチーム』


元のTVシリーズは殆ど見てない、
でもあの威勢のいい音楽は知ってて、くらいでの鑑賞。
そしたらもう、映画のメインタイトルが出る前で
すでにとんでもねーアクションで口あんぐり、
ほぼそのまんま最後まであんぐり、
口開けっ放しというものすげー映画でした。
しかもほぼその場面でも笑わかせるし。

『トランスフォーマー』でも『G.I.ジョー』でも
アクションしっぱなしのバカ映画は大好きですが
今回は超人でも機械でもなくて生身の人間、
ただ体力と度胸と性格のイカレ具合が
普通の人と違うだけってのがすごい。

ジェダイ・マスターでもどシリアスな役でもやっちまうリーアム・リーソンが
こんな映画でもはまってることもすごい。

ちょっとラストがきれいにまとめ過ぎな気もしなくもないけどね。
吹き替え版で見りゃあよかったなあ、やっぱし。

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グラント・ヘスロヴ監督『ヤギと男と男と壁と』

テレビの全米ベストテンで見た時に気になって
原作「実録・アメリカ超能力部隊の真実』探すと
なかなか見つからなくてねー.
偶然入った古本屋で手に入れ
抱腹絶倒の挙句深刻にもなるという驚異のノンフィクションが
いったいどういう映画になるのかと思えば
これが実に見事でしたよあーた。

予告でも出てる場面だけど
ジョージ・クルーニーが「私はジェダイだ」
原作でもそういうセリフがちゃんと出てきますが、
相手にユアン・マクレガー持ってくるという馬鹿なキャスティング。
ジェフ・ブリッジスやケヴィン・スペイシーはカメオ出演程度か
と思えばとんでもない、きちんと重要な役回りで。

すごいいい出来の映画なんだけど、絶対大ヒットはないんだろなあ。
普通に見た人はこの映画の8割以上がノンフィクションまんまとも思わないんだろなあ。
制作にBBCが入ってるのもいかにも。
もっとみたいですねこういう映画。

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劉鎭偉 ジェフ・ラウ導演『出水芙蓉 水も滴るお姫様』


監督は『大英雄』の劉鎭偉 ジェフ・ラウ、
主演男優はこのあと劉鎭偉 と『機器侠 カンフー・サイボーグ』を撮る
方力申アレックス・フォン。

もともと水泳選手という経歴が生かされまくりの今作、
いちおうジリアンが恋のライバルだった女と
水泳の勝負に勝つために方力申の特訓受けて恋に落ちるという、
まあ題名と配役から想像される通りのストーリーなんだけれども、
そこは劉鎭偉 。
1時間先の展開は読めるのに
1分先のことが何もわからないすばらしい予想外の展開。

長州島という離島を舞台にしてるのと
大陸側の資本で検閲受けてるせいもあって
いつもよりギャグがゆるいかなーと思えば
進むに連れてだんだんそんなこともなくなっていき、
クライマックスは『カンフーダンク』以上に唖然。

もちろん恋の場面も上手くせつなく、
ラストは『ラブソング』以上ではないかと思うくらいの切れ味、
さすがというほかありません。

この人の映画は一本も見逃しちゃダメだ。
今作も公開されてよかったあ。

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ダニエル・アルフレッドソン監督『ミレニアム2 火と戯れる女』『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』

2本連続というかほぼ同時公開、2本立てというより
前後編の内容だからこういう公開の仕方もありですね。

コンピュータにDVなどを絡めた伝奇ものだった1作目から
謀略、スパイ、警察、アクション、怪殺人者、法廷ものと
ジャンルで言えばいろんなところを横断していくけれども
なんの違和感もなく自然な流れで、すごいなあこの原作。

ハリウッド的定番なら主人公の二人、
リスベットとミカエルが コンビで動くとこなのに
この2作で二人でいる場面が数えるほどしかなく、
それぞれがちゃんと主人公でいるというのもいい。

『2』では前作で決着ついてたと思ってた人物の登場に驚き、
明かされる人物関係でさらに驚き。
クライマックスの構成なんて普通で言えばひねりすぎ、
それもしかしフィクションの定番のストーリーにとらわれない
リアルっぽい流れなんだよねえ。

『3』のクライマックスは法廷。
重体でろくに動けないところからはじまったのに
ちゃんと主人公であり続けるリスベットが被告。
普通ならいかに無罪を立証するかというドンデン返しの材料、
情報が観客にも伏せられて、それが発現した時の快感がいい、
というものとおもってました。
なのに、それは検事、裁判長にはふせられてても
観客には前もって知らせてあって、
それでもドンデンが成立するという、
こんなの作り手としては怖くてなかなかやれないというか
無意識に避けて思いつかないんでは。

脇でいい味出してる人たちが原作ではもっと書き込まれてるというので、
そのうち読んでみなければね。

『1』とは監督が違うんだ、気が付かんかった。

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三池崇史監督『十三人の刺客』

念のためオリジナルの工藤栄一版を見なおしてみたんですが、
台詞とか驚くほどもとのまんまでした。
前半特に夜の場面の暗さも。
今でもやればちゃんとこれだけ時代劇っぽさのあるものが
作れるんだなあと言うのが一番の収穫。
妙にマイルドにしてなかったのもいいところ。

十三人と言いつつ元はその半分くらいしか描かれてなかった
主人公側をちゃんと描こうとしてて
片岡千恵蔵→役所広司 嵐寛寿郎→松方弘樹
里見浩太朗→山田孝之 水島道太郎→古田新太
あたりはともかく
阿部九州男→沢村一樹  春日俊二→高岡蒼甫
片岡栄二郎→六角精児  山城新伍→伊勢谷友介
沢村精四郎→窪田正孝
あたりは元よりよかったんじゃないかなあ。
西村晃→伊原剛志は狙いが違うからまあいいいか。

刺客でない人たちの
丹波哲郎→平幹二朗 月形龍之介→松本幸四郎
という贅沢さもグー。
内野聖陽なんて台詞もなく切腹するだけだし。

内田良平→市村正親
市村さんはすごくいいとは思うのだけど、
ヘラヘラしてない内田良平がよすぎたというかですね。

もとより確実に悪いことしてる場面増やしてる
菅貫太郎 →稲垣吾郎
雰囲気は悪くないのに台詞回しが弱くて。
他の人達との釣り合いが取れてない感じ。
惜しい。これが二宮和也だったら傑作だったのに。

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クリスチャン・アルバート監督『パンドラム』

パンフレット売ってませんでした単関係公開。

宇宙移民の長距離巨大宇宙船内で冷凍睡眠から目覚めた交代要員。
が、船内の状況は異様なものとなっていて……。

という、80年代辺りなら結構見たかもしれない、
今時珍しいくらいのSFホラーサスペンスアクション閉所パニック物。

オチまで含めて結構よく作ってはありますが、
『ミステリーゾーン』やら往年のテレビドラマなら
30分か1時間でもっとひねった話にしたんじゃないかなあ。

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ファン・ホセ・ カンパネラ監督『瞳の奥の秘密』

これも単関係公開なんだけど、パンフはありました。

アルゼンチン映画って映画館で見るの初めてじゃないかなあ。
ある事件に関わった犯人、被害者の遺族。
そして担当判事とその同僚女性。

判事は25年経って回顧録を小説にしながらその事件の跡を追い始める……。

軸のひとつはその判事といまはもう結婚して
大きな子供もいる同僚女性とのいまさらの恋で、
普段ならその手の映画は見ないんですが
もちろんそれだけではないのでこの映画。

25年の間の政情の変化もあり、事件の重さ、そして遺族の行く末。

目の離せないことが続き、ある衝撃的な真相も明かされるのですが。

とにかくなんというか密度濃い感じもするし、
言葉が違う以外は町の中は意外とアメリカ風にも見えるのに
ハリウッド的な過度な説明をしないので奥深さも増すというか。
かと言ってヨーロッパとはまた違う気もする。
ちょっとした世界を見るようでした。

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胡玫 監督『孔子』@東京中国映画週間

東京国際映画祭色々見たいのはあったもののろくにチケット取れず。
なんとか取れたうちの一本が同時企画のこれ。
主人公孔子を演ずるは周潤發チョウ・ユンファですよ。
亀仙人から孔子まで幅広いなあ。
伝説の人物を生きた人として説得力もつのはその目の力、
思想が広まるにはその思想自体優れてるかどうかだけでなく
本人の強さが必要なんだなあと思わされました。

波乱万丈の生涯と春愁戦国時代の中国を描いて過不足なし。

女優陣の出番は少ないものの周迅ジョウ・シュンがものすごく綺麗。

その出演者たちは来なかったものの舞台挨拶には監督だけでなく
いろんな俳優さんたちがきてました。
詳細はこちら

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陳徳森テディ・チャン導演『十月圍城 ボディガード&アサシンズ』@東京中国映画週間

ほとんどが恵比寿写真美術館で上映されるこの東京中国映画週間で
この一本だけがオープニングとして有楽町日劇スクリーン1という大劇場で公開。
会場が広いおかげでチケット取れたわけですが、後ろの方でも大スクリーンなので問題なし。
上映前にゲストの皆さんがまた壇上でそろってました。

100年前の香港。日本に逃げていた孫文が帰ってくるというので
革命組織が全土蜂起のために迎え入れる準備をするところに
清朝からの暗殺隊が。
いかに守るのか、ポイントの攻防は1時間。

という話でその当時の香港のセットも大変ならば制作も10年以上にわたり、
SARSや出資者の自殺などで何度も中座した苦難のものだったよう。
こちらで詳しく。

が、そんなものは吹き飛ばす傑作。

守り手がその任についていくまでの5日間が前半、
孫文到着当日が後半。
どちらも面白い、アクションだけでなく親子とか男女とか
いろんな形の情愛が絡まるその絡めせ方が旨い。
最後の方はあちこちで泣く声がすごかったですよ。

主演は《強いけど孤独な博徒》甄子丹ドニー・イェン、とはいえ
ほか《真面目な革命党員》梁家輝レオン・カーファイ、
《人のいい人力車夫》謝霆鋒ニコラス・ツェー、
《乞食、でも実は》黎明レオン・ライ、
《英国と中国の板挟み警察隊長》曾志偉エリック・ツァン、
《劇団長でも実は》任達華サイモン・ヤム、
《革命党員の教授》張学友ジャッキー・チュン、
女優陣も範冰冰ファン・ビンビン、李宇春クリス・リーと色々出てきますが
かなり多い登場人物がみんなよく描きこまれて見せ場あって
格好いいという信じられない出来。
物語中の主人公は孫文を経済的に支えてた
《新聞社社長》王學圻で この人もまた良かったですが。
悪役の《暗殺隊長》胡軍フー・ジュンが眉剃り落としてて
『レッドクリフ』の趙雲の人とは思えない怖い強い人っぷりもすごい。

唯一の難点は微妙に日本語がおかしい日本語字幕で、
おっちゃんたちがしゃべるのが時々オネエ言葉になったりして
最初はどういうキャラなのかと悩んだりしたもんですが、
来年GWの一般公開時にはさすがにちゃんとしたものになるらしいので
また見に行かねば。
上映終了後、劇場外では監督がファンの女性たちに囲まれてました。
この監督がまたかっこよかったぞ。

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葉偉信ウィルソン・イップ導演『葉問 イップ・マン序章』@東京国際映画祭

ブルース・リーの師匠、詠春拳の葉問の伝記映画。
第二次大戦の頃の佛山を舞台に葉問を演じるは甄子丹ドニー・イェン。
先日見た『十月圍城 ボディガード&アサシンズ』と
打って変わって物静かな優しい人の役。
日本軍が悪役なのは仕方ないとして、卑劣なやつもいる中で
池内博之演ずる将校はちゃんと筋が通った武人として描かれてて、
『SPIRIT』の中村獅童に通じるものがありますな。
で、ちゃんと空手の達人で強い。クライマックスはその将校対葉問、
そこもすごいけど、冒頭から太極拳師匠との稽古、
道場荒らしとの対決、
日本軍道場での空手10人相手、
綿花工場での今や強盗と化した道場荒らしたちとの再対決、
とアクションの見せ場も多くそれぞれ凄いレベル。

道場荒らし役 樊少皇ルイス・ファンは
内野聖陽と伊武雅刀を 足したような感じで野性味がかなり魅力的。
任達華サイモン・ヤムが葉問の親友の工場主、これはずっといい人。
林家棟ラム・カートンが警察署長だったのに日本軍がきてからは
通訳としてなんとか生き延びようとする人。
このへん安定した役回りですわね。

平和な頃は西洋風の豪邸で裕福に暮らしてたのに
戦中は極貧で石炭選別の仕事をしなければならなくなり、というなかで
奥さんや子供のとの生活を大事にしてる日常部分がまたいいですよ。
だからこそ怒った時がものすごいわけで、
日本軍空手10人相手の時には詠春拳にはここまでえげつない技があるのか、
こんなの映像では初めて見るんではというのが次々に炸裂。

いろいろすごいのだけどちょっとだけ物足りなく感じるのは
日本軍が悪役だからではなくて、
香港に移住した戦後が舞台の続編があるのを知ってるからで、
そちらは今回動作設計(アクション監督)を担当した洪金寶サモ・ハンも出演。
今回の上映で出来れば続けてみたかったけれどそうも行かなかったもので。
続編は来年の一般公開決まってるのでそれを待つわけです。
ただしその『2』が5000人動員すればこの序章も公開されるとか。
『ミレニアム2,3』みたいに続けて見たいですねえ。

その2本とは別に
『葉問前傳(ザ・レジェンド・イズ・ボーン: イップ・マン) 』
なる映画もできてて、 こちらは主演は違う若い人だけど
話がうまく今回の序章につながるあたりで終わるらしいし、
洪金寶サモ・ハンも樊少皇ルイス・ファンも違う役ででてる上に
元彪ユン・ピョウまで出て、
序章で出てきてた葉問の子供・準の本人がまだご存命で
葉問の師匠役で出演してる人のこと、そっちも見たいなあ。
監督は邱禮濤ハーマン・ヤウですからね、どうなってることやら。

今年の東京国際映画祭は個人的にはこれで打ち止め。また来年。

 

 

鈴木卓爾監督『ゲゲゲの女房』

先に朝ドラ版やってたのでそういうの期待するとかなーり違う感触。
たんたんと、何となくほの暗くほの明るい、
分かりやすい必然性がないまま妖怪がふとそこにいたりアニメパートがあったり。
脚本家としての宮藤官九郎はあまり好きじゃないんだけど、役者としてはいいなあ。
昭和30年代の家の中の明るさもあんな感じだなあとか。
そうかと思うと東京駅とか調布とかの駅前場面は現代そのままだったり。
個人的にはなかなかいいけど人に勧めにくい映画。

ちなみにアニメパートは若手アニメーション作家の大山慶くんと和田淳くん。
これはもう見事な出来。
こちら

 

林超賢ダンテ・ラム導演
『綫人 密告者  The Stool Pigeon』

11月26日FILMeXにて。
刑事の張家輝ニック・チョンは
出獄間近の囚人・謝霆鋒ニコラス・ツェーを
密告者としてスカウト。
前に使った密告者・廖啓智リュウ・カイチーは
その後組織の目を逃れるためにホームレスとなり、
死にかけたため精神もかなりやられてる、
という状況がでてくるのでこの先どう転んでも
謝霆鋒に明るい未来はこないんだろうと思うと、
張家輝の方にも辛い過去がある上に過酷な運命が。

謝霆鋒はこの前に見た
『十月圍城 BODYGUARDS & ASSASSINS』に続いて
スキンヘッドで強くもなんともない、
むしろいろいろ弱い人の役。
それをいえばこの映画に出るほぼ全員がどこか弱い普通の人。
それが運命がこじれてやるせない結末に至るという、
割と地味な映画なんだけど、
日劇という大きなスクリーンで見られたのはよかったなあ。

犯罪者側の紅一点・桂綸鎂グイ・ルンメイは
『不能説的秘密 言えない秘密』で見ただけなんだけど、
今回のファム・ファタール的な役にぴったり。
動作設計は錢嘉樂チン・ガーロで
普通の人同士がやってるだけに痛そう
というのを見事に表してました。
香港映画で時々出てくる包丁くらいの大きさの
青竜刀は痛そうすぎますよ。

丁晟ディン・シェン導演『大兵小将ラスト・ソルジャー』

 

成龍ジャッキー・チェンが主演だけでなく原案もアクション監督も。
かと言ってこれがアクションものでなく、
紀元前3世紀の戦国時代を舞台にしたえーとなんというか
時代物だということ以外ジャンル分け難しいなあ、
しなきゃいけないわけでもないけど。

小国の部隊がある地点で戦い、
ほぼ全滅した両軍の中で生きのこったのが将軍と敵国の農民成龍。
足を怪我した将軍を捕虜にして自国に連れ帰り、
報奨金を得ようとするが
将軍を追うものたち、流浪の民、謎の女などと出会い、
危機を乗り越えたり友情も生まれてきたり。

アクションもコメディなとこもあるにはあるがそこがメインでなく、
物語も面白いけどそれだけでもなく、
戦争とは、平和とは、国と個人、生きること、誇りなどが問われる映画。

でありながら声高に言うわけでもなく
将軍と戦乱の地をのらりくらりと生き延びてきた農民の
ちょっとした会話とか生き方の違いとかからそういうのが出てくる作り。

農民はいくらジャッキーが演じててもほとんど強くないほぼ普通の無名の人。
栄達を極めようという気もなく農民として生き延びたいというだけ。
そういうとこがいいんで、割と地味めな映画だけど
話がどこに転がるかもわからず波乱万丈、
ちゃんとエンターテインメインとしながら心にしみるという
ある種離れ業が成功してる。

こんな良作があまり宣伝もされず
都内では早めに公開終わっちゃうのはもったいないこと。

将軍を演ずる王力宏ワン・リーホンは今回誰かに似てるなあと思ってたら
クリストファー・ランベール、なんでどうも途中から『ハイランダー』に
見えてきたりしてねー。
パンフレット、もうちょっと脇役の人たちの解説いれて欲しかったな。
なんとなく顔に見覚えあるんだけどどういう人だっけと思うのが多くて。

 

山崎貴監督『SPACE BATTLESHIP ヤマト』

最初のTV放映時に中学生だったのでその時はよく見てたけど 、
その短縮劇場版やその後の続編類について 好きな場面もありはするものの
全体としてはそれほど思い入れてるわけでもないんですよ。
いや、すこしはあったのかもしれないけど、
続編の量と反比例していったかんじで。
それもちゃんと全部見てるわけでもないしねえ。

主に最初のTVシリーズとその総編集劇場版を元に
2作目『さらば〜』の要素を足して再構成した今作。
(ホントは最初のもののノベライズの要素も入ってるらしいけど、
さすがにそれは覚えてない)
冒頭「ゆきかぜ」が沈むあたり、
まさかそこまでオリジナルに忠実にやると思ってなかったのでビックリ、
それはうれしい方。
作り手側が原作が好きだということがよくわかったので。
堤真一は好きな役者じゃないし、古代守に合ってるとも思ってなかったのが
ここは良かった。
いまどきの女性キャラとして出てくる黒木メイサの森雪とか、
通信班の相原が女性になってるなどの変化もオッケー。
脇の隅のほうで言うと南部や山本が原作に忠実すぎなくらい。
山崎努の沖田艦長は食わせ物になっててこれはもう流石というしか。
キムタクの古代進について反感ある人も多いみたいですが、
この髪型含めたビジュアルといい、
誰か他にもっと適役な人がいるかというと簡単には思いつかんのですよ。
原作からして古代の性格は結構いい加減で都合で変わって一貫性ないし、
作画がいい時の見た目と富山敬さんの演技でいいキャラとして
記憶されてるだけでしょう、
今回のは古代としては上等の部類ではないかと。
なれるとちゃんと古代に見えてきたし。

まあその古代の一貫性の無さを脚本面でも
引き継いだかんじがするのは
うむ〜〜。
全体に人物関連の場面がセット感丸出しで
艦内としてリアル感薄いのは、照明や音響のせいもあるけど、
映画の画面として落ち着いてないからなのかなあ。
主に戦闘場面のCGもキラキラし過ぎで
もっと落ち着いてたほうがいいような気もすんですけど。

コスモゼロの新デザイン、アナライザーの扱い、
ガミラスとイスカンダル、及び放射能除去装置についての
新解釈はいい工夫。
原作へのリスペクト度が強いのもそれ自体は悪くないとはいえ
もっとそういう新規の場面を多く見たかったですが、
その兼ね合いって難しいよね。

鈕承澤ニウ・チェンザー監督『モンガに散る』

母子家庭でいじめられっ子の "蚊子" モスキート(趙又廷マーク・チャオ) は
何度目かの転校先の高校でふとしたはずみから
地元の黒社会のボスのひとりの息子のグループに入り、極道になってしまう。
それまで友達がいなかった彼は
義兄弟や親分との絆に自分の存在意義を見出そうとしていくが……

今年は香港映画であたりを何本も見たけどこれは台湾映画。
微妙に日本に近い雰囲気で、1986年という絶妙な時代設定。
ボスの息子李志龍 ドラゴン(鳳小岳リディアン・ヴォーン)は
いい顔したがるが実は結構芯が弱い。
頭脳も度胸も人一倍優れてるサブリーダーの"和尚"モンク (阮經天イーサン・ルーアン)が
何故かそのドラゴンに友情以上の何かを秘めてるところが一つポイント。

地元の不良たちとの喧嘩に明け暮れてた彼らが事件をきっかけに
完全にプロの極道になっていく頃、
〈浅草と歌舞伎町を混ぜたような〉台湾一の繁華街モンガにも大陸の黒社会が侵入してきて
密謀や裏切りでボロボロになっていってしまうという、
ある意味ありがちな話でありながら
主人公達の心情が痛いほどきちんと描かれてることで
ありがちな出来とは一線を画す物となってしまってる。
タイトルから分かるようにハッピーエンドではありえないけど、
散るのは命じゃない。いい放題だなあ。

ヤクザ映画も青春映画も好きじゃないけどさすがにこれはいい映画。

エンディングクレジットで使用曲の作曲に日本人名があり、
どの歌かと調べてみれば主人公グループがカラオケではしゃいで歌ってる
譚詠麟アラン・タムの「愛情陥阱」
なんと元曲は『メガゾーン23』の主題歌『背中ごしにセンチメンタル』だったという、
そりゃまあきいたことがあるようなないようなだ。

 

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